建設業許可を相続により承継できるのか

」専門行政書士が解説

建設業許可を相続により承継できるのか

1.相続による建設業許可の承継

建設業を親の代から引き継いで、2代目3代目の個人事業主の方も多いのではないでしょうか。

そんな建設業許可を受けている個人事業主が死亡した場合、事業を引き継ぐことになると思います。
では、建設業許可はそのまま被相続人の建設業者の地位を承継し、引き継ぐことはできるのでしょうか。

結論:承継できます
①建設業者としての地位を承継

建設業者としての地位を承継する場合、相続によって建設業許可が引き継がれると、建設業者としての地位全体が相続人に移ります。

これにより、建設業許可に伴う権利と義務のすべてが相続人に引き継がれます。
相続人は、被相続人が受けた監督処分や経営事項審査の結果も同様に承継することとなります。

ただし、刑法上の罰はあくまで個人に対して課されるものなので、引き継がれません。

②全ての許可業種が承継される

建設業許可の承継においては、許可を受けているすべての業種が一括で承継されます。

一部の許可業種のみを承継することは認められていません。また、承継と同時に新たな業種を追加することもできないので注意が必要です。

例えば、譲渡人が土木施工管理技士を専任技術者として土木一式と水道施設工事業の許可を受けているが、譲受人には建設機械施工技士しか専任技術者になれる人がいない場合、水道施設工事業の許可要件を満たすことができません。

ポイント:承継できない業種は一部廃業

その場合、許可要件を満たしていない水道施設工事業だけでなく土木一式も含めて許可の承継が認められません。

このようなケースでは、事業譲渡前に譲渡人側で水道施設工事業を廃業し、土木一式の許可だけを受けている状態にしておくことが現実的な対策となります。

2.許可承継の認可申請

相続人が建設業許可を引き継ぐ場合には、被相続人の死亡後30日以内に申請を行い、認可を受ける必要があります。

①認可申請の必要書類

相続による認可申請の審査については、相続に関する特有の書類を除き、基本的には通常の新規申請と大きな違いはありません。以下は必要な書類の概要です。

  • 続柄を証明する書類
    • 戸籍謄本(除籍)を用いて、被相続人の死亡年月日と申請者との相続関係を証明します。
    • 相続が発生した際には、建設業許可に限らず戸籍謄本を取得することになるため、建設業許可用として余分に取得しておくと便利です。
  • 相続人全員の同意書
    • 被相続人の建設業者としての地位を、相続人のうち1人(申請者)が承継することについて、相続人全員が同意していることを証明する書面です。
    • この同意書の取扱いは審査する行政庁によって微妙に異なる場合があるため、申請先の行政庁が発行する手引きを必ず確認しましょう。
②相続人が許可要件を満たしていることが必要です

事業譲渡により建設業許可を承継する場合、まず初めに「事業譲渡が成立した時点で譲受人が建設業許可の要件を満たしているか」を確認する必要があります。

要件の内容は通常の建設業許可と同様で、以下の通りです。

  1. 欠格要件に該当しない・誠実性があること
  2. 営業所に独立性があること
  3. 財産的基礎を有していること
  4. 社会保険に加入していること
  5. 専任技術者が在籍していること
  6. 常勤役員等が在籍していること

上記の許可要件に関しては過去の記事で詳しく解説しています。下記からご確認ください

ポイント:相続人発生前に相談しておきましょう

建設業許可の相続において重要なのは、

・相続人が許可要件を満たしていること
・相続人全員の同意が得られていること

の2点です。

相続発生前に、余裕をもって建設業に詳しい行政書士に相談しておくことで、相続による許可の承継が円滑に進むようにしておきましょう。

産的基礎要件はクリアできているものと同然なのです。

3.まとめ

以上、相続による事業承継について解説しました。

当事務所は建設業許可を専門に申請代行を行なっております。
ぜひお気軽にご相談ください。

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