決算変更届とは

専門行政書士が解説

決算変更届とは?

1. 経営事項審査制度の概要

建設業では、多くの協力会社や個人事業主が関与するため、安定した運営が重要です。

そのため、建設業の許可を取得した事業者は、毎年「決算変更届」を提出する義務があります。都道府県によっては、「決算変更届」を「決算報告書」や「年次報告書」と呼ぶこともあります。

ポイント:事業年度終了後4ヶ月以内に提出する必要がある

許可を取得した事業者は、一般建設業許可・特定建設業許可の区別なく、事業年度終了後4カ月以内に決算変更届を提出する必要があります。

この4カ月の期間中、税務の決算処理に2~3カ月かかるため、実質的に1カ月弱で提出準備を完了させる必要があります。

ポイント:税務署に提出する決算申告とは別物

なお、税務署に提出する決算申告と、都道府県知事(または国土交通大臣)に提出する決算変更届は異なるものであり、混同しないように注意が必要です。建設事業者は、両方の手続きを必ず行わなければなりません。

2. 決算変更届を提出しないと・・・

先述のとおり、決算変更届を毎年提出することが義務付けられています。
もし提出を忘れてしまった場合はどうなるのでしょうか。

①建設業許可の更新や業種の追加ができない

建設業許可は5年間有効で、その有効期間が満了する30日前までに更新申請を行う必要があります。しかし、毎年の決算変更届を提出していない場合、建設業許可の更新を受け付けてもらえません。

また、取引上の必要から他の建設業許可を取得しなければならない場合もありますが、決算変更届を提出していないと業種の追加申請は受理されません。このため、過去の決算変更届を遡って作成しなおす必要があります。

これには時間と労力がかかり、結果として建設業許可が失効したり、業種の追加を断念することになる可能性があります。

②実績を証明できない

決算変更届は、実際に行った工事の内容を公的に証明する書類です。提出された書類は社会的に信用の高いものとされ、工事の実績を証明する際に重要な役割を果たします。一方、決算変更届を提出していない場合、過去の工事実績を証明することが困難になり、多大な手間がかかります。

また、これら決算変更届は第三者が閲覧できるようになります。継続的に取引がある業者や新たに取引を始めようとする事業者が、相手の業績を確認するために閲覧することがあります。

この時、決算変更届を提出していなければ、自社の状況を相手に示すことができず、信用が失墜する可能性があります。結果として、取引停止や新規発注の停止などの不利益を被ることがあります。

決算変更届を提出しないことで、許可の更新や追加ができないだけでなく、取引信用の低下や工事実績の証明が難しくなるなど、多くの不利益を被る可能性があります。したがって、毎年の決算変更届の提出を忘れずに行うことが重要です。

③公共工事を受けることができない
ポイント:経営事項審査が受けられないということは...

公共工事を受けるためには、経営事項審査により「実績」や「技術力」など第三者機関によって審査されます。

この経営事項審査のデータは、すべて決算変更届に基づいて提出されるものです。

言い換えれば、決算変更届が提出されていないと経営事項審査を受けることができず、公共工事の入札に参加することができなくなります。

3. 決算変更届に必要な書類

決算変更届の提出には、以下の書類が必要です。

提出書類

  1. 変更届出書
  2. 工事経歴書
  3. 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  4. 財務諸表
    • 貸借対照表
    • 損益計算書
    • 完成工事原価報告書 ※法人のみ
    • 株主資本等変動計算書 ※法人のみ
    • 注記表 ※法人のみ
    • 附属明細表 ※法人のみ
  5. 事業報告書 ※法人のみ
  6. 納税証明書

以下は変更があった場合のみ提出

  1. 使用人数
  2. 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表
  3. 定款 ※法人のみ
  4. 健康保険等の加入状況

ここから、それぞれの書類について詳しく解説します。

①変更届出書

建設業者の情報や事業年度などを記載します。

②工事経歴書

工事経歴書には、事業年度内に行った建設工事の情報を記載します。対象年度の工事について、業種ごとに完成した工事と未完成の工事の金額を記載していきます。

地域ごとに異なりますが、全ての工事を記載しなくてもOKです。

③直前3年の各事業年度における工事施工金額

直前3年分の事業年度ごとに、工事施工金額を記載します。
業種ごとに、元請工事と下請工事を区分し、元請工事はさらに公共工事と民間工事に分けて記載します。

④財務諸表

財務諸表は、対象事業年度の資産状況や売上などを示す書類で、以下のものが含まれます。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 完成工事原価報告書
  • 株主資本等変動計算書
  • 注記表
  • 附属明細表

税務署に提出した決算書を元に、建設業法に沿った形で作成します。税務申告用の決算書をそのまま提出するのではなく、建設業許可手続き用に書き直すイメージです。

⑤事業報告書

事業報告書には、会社の概況や営業の概況、資産状況などを記載します。

法律上決まった書式はなく、対象事業年度の事業の概況を記載していれば問題ありません。

⑥納税証明書

決算変更届には納税証明書を添付し、適正に納税していることを証明します。納税証明書は直近3年分までしか発行されませんので注意が必要です。

提出するのは、国土交通大臣許可の事業者の場合は国税の納税証明書、都道府県知事許可の事業者の場合は都道府県税の納税証明書です。

4. 提出期限

決算変更届は毎年提出が義務づけられています。
具体的に申し上げると提出期限は、事業年度終了の日から4か月以内となっています。

期限を過ぎると更新手続きに支障が出るほか、罰則もあるため、必ず提出期限を守りましょう。

5.まとめ

以上、決算変更届について解説いたしました。
建設業を継続的に行なっていく場合には必ず必要な手続きとなっております。

建設業許可を新規で取得しようと考えている方
建設業許可は取得した後の
フォローが重要です
5年ごとの更新手続き・毎年の決算変更届の提出
必ず行わなければなりません
一生、建設業をやるのであれば
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