赤字でも建設業許可は取得できるのか
赤字でも建設業許可は取得できるのか
1.建設業許可の財産的要件
建設業許可を取得するには、一般建設業許可・特定建設業許可のいずれも「財産的基礎要件」が定められています。
建設業を営むには、資材や機材の購入、工事着工の準備資金など、顧客から受け取る着手金や協力会社や職人さんに支払う諸費用などのために、安定した経営を行うための一定の財産が必要です。
2.結局赤字でも許可取得できるのか?
ここで本題ですが、赤字でも建設業許可を取得することはできるのでしょうか?
一般建設業と特定建設業における財産的基礎および金銭的信用の要件はどのようなものか見てみましょう。
①一般建設業の場合
許可申請時に「倒産することが明白である」場合を除き、次のいずれかの基準を満たす必要があります。
- 自己資本(貸借対照表の純資産合計)が500万円以上
- 500万円以上の資金調達能力があること
- 過去5年間許可を受けて継続営業した実績があること
ポイント:新規の取得の場合には・・・
一般建設業の場合には、上記3つの条件のうち、いずれか1つをクリアできれば、建設業許可を取得するための財産的要件を達成することができます。
ただし、「3.過去5年間許可を受けて継続営業した実績があること」については、新規で許可を受けたり、初めて許可の更新をする際には使えません。
新規で許可を取得する際は、一般的に
- 自己資本(貸借対照表の純資産合計)が500万円以上
- 500万円以上の資金調達能力があること
いずれかによって証明することになります。
ポイント:上記のいずれかの基準を満たす
一般建設業の場合には、上記3つの条件のうち、いずれか1つをクリアできれば、建設業許可を取得するための財産的要件を達成することができます。
このいずれか1つをクリアすればいいというのがポイントです。
ポイント:一般建設業許可なら赤字でも取得可能性有
例えば、その事業年度が赤字決算であっても、今までの事業が黒字で、貸借対照表上の純資産の部が500万円以上になっていれば、1つ目の要件の自己資本500万円以上を満たすことになります。
また、許可後からずっと資本金を維持する必要はありません。そもそも資本金の額が直接の要件ではないため、許可を受けてから資本金が減ってしまっても大丈夫です。
2回目の更新以降は「直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること」によって証明することが可能です。
つまり、一般建設業許可の場合、先述のいずれかの要件を満たしさえすれば、赤字でも取得することが可能ということになるのです。
ポイント:財産要件を証明するための書類とは
財産要件を証明するための書類は一般的には下記のとおりです。
・財務諸表 表紙(法人用)
・貸借対照表 (法人の場合)
・損益計算書 完成工事原価報告書 (法人の場合)
・株主資本等変動計算書 (法人の場合)
・注記表 (法人の場合)
・附属明細表 (資本金1億円超又は負債総額200億円以上の株式会社のみ)
・事業報告書 (株式会社のみ)
・財務諸表 表紙(個人用)
・貸借対照表 (個人の場合)
・損益計算書 (個人の場合)
②特定建設業の場合
特定建設業は、高額の下請工事を行うため、一般建設業に比べて厳しい基準が設けられています。建設業法上(法第15条第3号、施行令第5条の4)では「請負代金の額が8,000万円以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有すること」と規定されています。具体的には、次の全ての基準を満たしていることが必要です
- 欠損の額が資本金の額の20%を超えないこと
- 計算式: (繰越欠損金 - 法定準備金 - 任意積立金) ÷ 資本金 ≦ 0.2
- 流動比率が75%以上
- 計算式: 流動資産 ÷ 流動負債 ≧ 0.75
- 資本金が2,000万円以上で、自己資本が4,000万円以上
ポイント:福岡県の場合
福岡県の場合、新規申請時には、次の基準も併せて満たすことが必要です
- 4,000万円以上の預金残高証明書等を提出できること
ポイント:特定建設業許可の場合は厳しい
特定建設業許可の場合には、上記すべての要件をクリアする必要があります。
当然、倒産する可能性がはっきりしている場合は、新規・更新とも認められません。特定建設業の場合、破綻してしまうと下請負の事業者にとって、大きな被害が及ぶからです。
仮に、特定建設業許可を得ていたが、更新の際に、赤字その他の理由で条件を満たせないという場合は、新規で一般建設業の許可を得て、特定から一般建設業に切り替ざるを得なくなります。
3.まとめ
以上、建設業許可が赤字でも取得できるかどうかについて解説いたしました。
当事務所は建設業許可を専門に申請代行を行なっております。ぜひお気軽にお申し付けください。
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