建設業許可の6つの許可要件(前編)

専門行政書士が解説

建設業許可の6つの許可要件(前編)

建設業基本知識③

建設工事の完成を請け負うことを営業するには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。

 ただし、「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。

国土交通省H Pより

このように、建設工事を請け負う際には、原則、建設業許可を受けなければならないと、法律で決まっています。

この建設業許可ですが、誰でも取得できるような許可ではありません。
許可を取得するためにはいくつかクリアしないといけない要件があります。

今回はこの建設業許可の要件についてざっくりと解説していきます。
基本知識をご説明させて頂きますので、あえて説明を省いている部分もございますが、ご了承ください。

尚、建設業許可について、ざっくり理解を深めたい方は下記の記事をご覧いただくとスムーズです。

結論:建設業許可を取得するための要件がわかります(前編)

建設業許可に必要な6つの要件(前編)

1.誠実性・欠格要件

①誠実性

ポイント:法人であれば役員全員が対象になる

まず一つめに誠実性の要件を満たすことが求められます。
法人であれば、その役員(非常勤を含む)個人事業主であれば本人が、請負契約やその履行において詐欺、脅迫、横領などの「不正な行為」または「不誠実な行為」を行うことが明らかな場合、建設業の許可を取得することはできません。

誠実性を判断するのは主観的な要素であるので、よほど客観的に不正行為を働くように見える業者でなければ、問題はないでしょう。

詳しく知りたい方は下記から

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②欠格要件に該当しないこと

欠格要件とは、簡単に言えば、今まで悪いことをしていなかったかどうかということです。これらの欠格要件に該当すれば許可を取得することはできません。

この要件も、法人であれば、その役員(非常勤を含む)個人事業主であれば本人が、、欠格要件に該当しなければ問題ありません。

欠格要件は下記のとおりです。
条文そのまま載せてしまうと何の事かわからないので、わかりやすく説明した藻を載せておきます。

ポイント:欠格要件に該当すると許可取得ができません

建設業許可の欠格要件

建設業の許可を取得する際には、以下の条件に該当する場合、許可を受けることができません。許可の更新の場合も、同様の条件が適用されます。

  1. 破産して復権していない場合
    → 破産手続開始の決定を受けて、まだ復権を得ていない人。
  2. 過去に建設業許可を取り消されて5年以内の場合
    → 建設業法に違反して許可を取り消され、その取り消し日から5年を経過していない人。
  3. 許可取消の通知後、5年以内に申請した場合
    → 許可取消処分の通知を受けた後、その処分が確定するまでに許可の届出をした人で、その届出日から5年を経過していない人。
  4. 特定期間に申請した法人・個人の役員等
    → 上記3の通知前60日以内に届出をした法人の役員や使用人、個人の使用人で、その届出日から5年を経過していない人。
  5. 営業停止命令を受けている場合
    → 営業停止命令を受け、その期間がまだ終了していない人。
  6. 営業禁止命令を受けている場合
    → 建設業について営業禁止命令を受け、その期間がまだ終了していない人。
  7. 禁錮以上の刑を受けて5年以内の場合
    → 禁錮以上の刑を受け、その刑の執行が終了した日または受けなくなった日から5年を経過していない人。
  8. 特定の法律違反で罰金刑を受けた場合
    → 建設業法や関連法規、暴力団対策法などの違反で罰金刑を受け、その執行が終了した日から5年を経過していない人。
  9. 暴力団員である場合
    → 現在暴力団員であるか、暴力団員でなくなってから5年を経過していない人。
  10. 心身の故障がある場合
    → 心身の故障により建設業を適正に営むことができないとされる人。
  11. 未成年で法定代理人に問題がある場合
    → 営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、その法定代理人が上記のいずれかに該当する場合。
  12. 法人の役員等が欠格要件に該当する場合
    → 法人の役員や指定された使用人が、上記のいずれかに該当する場合。
  13. 個人で政令で定める使用人が欠格要件に該当する場合
    → 個人で政令で定める使用人が、上記のいずれかに該当する場合。
  14. 暴力団員等に支配されている場合
    → 事業活動が暴力団員等によって支配されている場合。
建設業法第8条を引用
ポイント:欠格要件は許可取得後、該当する場合には取り消されます。

許可後に欠格要件に該当した場合や、申請書に嘘の記載をして許可を受けた場合には許可が取り消されることがありますので、ご注意ください。

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2.営業所

営業所とは、本店、支店、または常時建設工事の請負契約を締結する事務所を指し、以下の要件を満たすものです。

  1. 建設工事の請負契約締結等の業務を実際に行っていること。
  2. 電話、机、事務台帳等を備えていること。
  3. 来客用の応接スペースを有し、居住スペースや他の法人、個人事業主と明確に区分され、独立性があること。
  4. 営業用事務所として使用権限を有していること。
  5. 看板や標識等で建設業の営業所であることを明示していること。
  6. 経営業務の管理責任者が常勤していること。
  7. 専任技術者が常勤していること。

さらに、これらの要件以外でも、他の営業所に対して請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業に実質的に関与している場合も、営業所とみなされます。

ただし、登記上本店とされているだけで実際に建設業に関する営業を行わない店舗や、建設業とは無関係な支店、営業所等は営業所には該当しません。

特に、法人代表者の自宅を登記上の本店とし、そこを建設業の営業所とする場合は、独立性を確保することに特に注意が必要です。

営業所について詳細を知りたい方は下記から

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3.財産的基礎要件

建設業者が工事を適切に実施するためには、十分な経済的基盤が必要です。
そのため、財産的基礎や金銭的信用を確認することが求められます。
許可申請の際、既存法人や個人事業の場合は直前期の財務諸表を、新設法人や個人事業の場合は創業時の財務諸表を提出し、審査を受ける必要があります。

ポイント:一般建設業は下記のいずれかの条件を満たす必要がある

一般建設業の許可を受けためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

  1. 自己資本が500万円以上であること
    • 法人の場合:貸借対照表の純資産の部にある純資産合計が500万円以上であること。
    • 個人事業の場合:次の計算式により求めた自己資本が500万円以上であること。
      • (期首資本金 + 事業主借勘定 + 事業主利益) - 事業主貸勘定 + 負債の部に計上されている利益留保性引当金 + 準備金 ≥ 500万円
  2. 500万円以上の資金調達能力があること
    • 申請時の直前期に自己資本が500万円に満たない場合でも、500万円以上の資金を調達できることを証明すれば要件を満たします。
      これには、預金残高証明書や融資証明書などを提出します。
  3. 申請前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績があること
    • 既に許可を受けている建設業者が、更新や業種追加の際に適用される基準です。
      5年以上建設業許可を継続して保持している場合、財産的基礎が満たされているとみなされます。

ポイント:特定建設業の要件は省略しています。

特定建設業の許可を受けるための要件は、一般建設業よりも厳しく、更新時にも財産的基礎の要件を満たしている必要があります。

これは、建設業が大規模な下請け工事を発注するため、下請け業者の保護を確保するためです。

今回は基本知識ということで、特定建設業の要件については、省略させて頂きます。

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4.まとめ

以上、建設業許可を取得するための6つの要件ということで今回は前半の3つの部分を説明させていただきました。

この記事には続きがありますので、ぜひ下記のページから最後までご覧になられてください。

当事務所は建設業許可を専門に申請代行を行なっております。ぜひお気軽にお申し付けください。

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