経営事項審査とは

専門行政書士が解説

経営事項審査とは

経営事項審査とは?

1. 経営事項審査制度の概要

①経営事項審査とは
国土交通省関東地方整備局HPより引用

経営事項審査は、国や地方公共団体などが発注する公共事業を直接請け負う際に必ず受けなければならない審査です。

公共事業の発注機関は、競争入札に参加する建設業者の資格審査を行います。この資格審査では、欠格要件に該当しないかを確認した上で、「客観的事項」と「発注者別評価」の審査結果を点数化し、総合点数で格付けします。
このうち、「客観的事項」に該当する審査が「経営事項審査」です。

「経営事項審査」は、どの発注機関でも同一の結果となるべきものであるため、特定の第三者が統一的に一定基準に基づいて審査を行うことが効率的です。また、この審査は建設業行政と密接に関連しているため、建設業法により建設業許可に係る許可行政庁が審査を実施します。

経営事項審査を受けるには、大前提として建設業許可を取得している必要があり、許可業者の義務である決算変更届も必ず提出していなければなりません。

②経営事項審査は公共工事入札前に必要です

理由は大きく3つあります。

これは発注者である国や都道府県等の視点から見た理由です。

理由1
建設業者の規模・業種に見合った工事を発注するために客観的評価が必要だから

理由②
発注先の工期中倒産といったリスクを避けるために事前に経営状態を見極めたいから

理由③
発注先の施工能力不足による施工不良・不能をなくすために事前に技術力・経験を見極めたいから

公共工事は税金を使用した工事であるため、発注先を慎重に審査することは国や都道府県にとって当然のことです。

③建設業者と経営事項審査の関係
ポイント:対象となる「公共工事」とは

経営事項審査を受けなければ直接請け負うことができない工事(公共工事)とは、次に掲げる発注者が発注する施設または工作物に関する建設工事で、1件の請負代金額が500万円以上(建築一式工事の場合は1500万円以上)のものです。

  1. 地方公共団体
  2. 法人税別表第一に掲げる公共法人(地方公共団体を除く)
  3. 国土交通省令で定める法人(例:関西国際空港株式会社、首都高速道路株式会社、東京地下鉄株式会社など)

ただし、以下の建設工事は対象外です。

  1. 堤防の欠壊、道路の埋没、電気設備の故障などで、放置すると著しい被害を生じる恐れがあるため必要とされる応急の建設工事
  2. 上記1以外で、経営事項審査を受けていない建設業者が発注者から直接請け負う必要があると国土交通大臣が認めた建設工事

④経営事項審査の仕組み

「経営状況分析」結果(Y) + 「経営規模等評価」結果(X・Z・W) = 「総合評定値」(P)

経営事項審査は上記の式に基づいて、建設業者の評価を客観的である点数にし、ランク付けします。

建設業者は、そのランクに応じた規模の工事に入札できるようになります。

ではどのような点が評価の基準になるか確認していきましょう。

経営状況(Y)

  • 純支払利息比率
  • 負債回転期間
  • 売上高経常利益率
  • 総資本売上総利益率
  • 自己資本対固定資産比率
  • 自己資本比率
  • 営業キャッシュフロー
  • 利益剰余金

経営規模(X1)

  • 年間平均完成工事高

経営規模(X2)

  • 自己資本額
  • 平均利益額

技術力(Z)

  • 技術職員数
  • 元請完成工事高

社会性等(W)

  • 労働福祉の状況
  • 建設業の営業継続の状況
  • 防災活動への貢献の状況
  • 法令遵守の状況
  • 建設業の経理の状況
  • 研究開発の状況
  • 建設機械の保有状況
  • 国際標準化機構が定めた規格による登録の状況
  • 若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況
  • 新規若年技術職員の育成及び確保の状況
  • 知識及び技術または技能の向上に関する取り組みの状況
ポイント:経営状況の把握に決算変更届が必要です。

経営状況分析では、提出された建設業財務諸表を用いて評点を算出します。

一方、経営規模等評価においても、工事経歴書や業種別完成工事高の数値がそのまま利用されます。

これらのデータは、すべて決算変更届に基づいて提出されるものです。

決算変更届は、すべての建設業許可業者が果たすべき義務です。
決算終了後の4ヶ月以内に、建設業財務諸表や工事経歴書などを許可行政庁に提出する必要があります。

決算変更届については、別の記事で解説しておりますので、下記をご覧ください

詳細はこちらから

2.まとめ

以上、経営事項審査について解説いたしました。
公共工事を入札したい場合には必ず必要な手続きであるということがお分かりいただけたかと思います。

当事務所は建設業許可を専門に申請代行を行なっております。
今回解説した経営事項審査についても、申請代行を行なっておりますので、ぜひお気軽にお申し付けください。

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