建設業で外国人労働者を雇用するなら・・・

専門行政書士が解説

建設業で外国人労働者を雇用するなら・・・

2024年問題って聞いたことありますか?
建設業は2024年度から、猶予されていた残業規制が入ることにより、人材不足が懸念されていました。
2025年度に開催される大阪万博でも問題になっていますよね。

筆者も以前ハウスメーカーに勤めていましたので、当時の同僚に話を聞くと、県外から職人を呼び寄せているため、人件費や移動費、宿泊費などが嵩み、建設費用が高騰しているというのを聞きます。

それだけ人手不足が深刻化しています。これは建設業に限ったことではないでしょうが・・・。

そんな中、人手不足を補おうと「技能実習」や「特定技能」などの在留資格を持つ外国人労働者を受け入れている企業も多くあります。

今回は建設業で外国人を労働する場合について解説いたします。
その中でも「技能実習」と「特定技能」に焦点を当てて解説いたします。

1.外国人が日本の建設業で働くためには

外国人が建設業で働くためには、

・雇用される側(外国人側)
・雇用する側(企業側)

の両面で、要件をクリアする必要があります。

これらの要件は細かく話していくとかなり長くなってしまいますので、今回の記事では、大まかに理解していただくことを目的とし、ざっくりと全体像を解説するようにいたします。

2.雇用される(外国人)側の要件

①在留資格とは

在留資格とは、一言で表すと「日本に合法的に滞在するための資格」のことです。

また、外国人が日本で働く際は、必ず就労が出来る在留資格を持っているということが必要になります。
そして就労が認められる在留資格のことを一般的に「就労ビザと呼びます。実はこの「就労ビザというのは正式な法律用語ではなく慣用表現です。

以後、わかりやすく説明するために、本記事でも就労ビザという言葉を使わせていただきます。

ですので、まず外国人労働者を建設業で雇用するためには、就労ビザが何かというのを確認する必要があるということです。

②建設業で働ける必要な在留資格

建設業で働ける就労ビザは下記のとおりです。
今回は建設業で受け入れられる数が多い技能実習と特定技能に焦点を当てて解説いたします。

建設業で働ける就労ビザ

・技能実習(現場労働可)
・特定技能(現場労働可)

・技能ビザ(現場労働可)
・技術・人文知識・国際業務ビザ(現場労働不可)
・永住者等の就労制限がないビザ

③技能実習と特定技能の違い
ポイント:特定技能制度と技能実習制度は目的が違う

「特定技能」と「技能実習」は、制度の目的が大きく異なります。この違いは極めて重要です。これを理解することでイメージがしやすくなります。

「技能実習」というと、近年の報道により「就労」の側面が強調されがちですが、本来は「国際貢献のための制度」として設立された在留資格です。
この制度は、日本で習得した技能を学んだ者が母国に帰国し、その技術を地元で応用・伝授することを目的としています。

一方で、「特定技能」はまさに「就労」を主眼としています。この制度は、日本国内での人手不足を補うために設けられました。
特定の分野で必要な技能を持つ外国人が、日本で働くための在留資格を取得できるようになっています。

ポイント:就業可能な業務や業種の違い
  • 技能実習は85職種(156作業)
    • 技能実習は業務内容が非常に細かく分かれており、業務内容に制限が多い。
    • 指定の業務内容以外のことを行うことは違法であり、単純な作業しかすることができない
    • 対象となる主な職種・作業:建築板金、建築大工、鉄筋施工、石材施工、タイル張り、配管、防水施工、内装仕上げ施工、サッシ施工、建設機械施工など
  • 特定技能は12分野(14職種)です。
    • 特定技能は技能実習に比べて、職種が大まかに分けられている分、単純労働を含む幅広い業務が可能なのです。
    • 特定技能「建設」のうち、業務区分は【土木】【建築】【ライフライン・設備】と大まかに分けられる。幅広い業務に対応が可能。即戦力として期待できる。

2.雇用する(企業)側の条件

①建設業許可が必要

「技能実習」・「特定技能」双方とも共通して、建設業許可を取得していないと受け入れることはできません。

ポイント:建設業許可必須

本来、軽微な工事のみを行う場合には、建設業許可は取得する必要はありませんが、外国人を採用する場合、軽微な建設工事のみを請け負う場合でも建設業許可が必須となります。

建設業許可の種類と受け入れる外国人が従事する職種が一致している必要はありません。何らかの建設業許可を取得していれば、特定技能の受け入れが可能です。

建設業許可の取得は、スムーズに行っても約2ヶ月程度かかります。外国人労働者を雇用するなら、その点も含めて、スケジュールを管理する必要がありますので、注意しましょう。

②建設キャリアアップシステムの登録が必要

特定技能者を建設業で受け入れる際には、建設キャリアアップシステム(CCUP)への登録が重要です。受入れ機関と外国人本人の両方がシステムに登録する必要があります。

建設キャリアアップシステム(CCUP)とは

建設キャリアアップシステム(CCUP)とは、技能者一人ひとりの就業実績や資格を登録することで、技能の公正な評価、工事の品質向上、現場作業の効率化を目指すシステムです。

特定技能労働者は必ず技能者登録が必要ですので、技術者登録が行われているか確認しましょう。

建設キャリアアップシステムについて詳しく知りたい方は過去の記事で解説していますので、下記からご覧ください。

詳細はこちらをクリック

4.まとめ

以上、外国人を雇用するにあたって、雇用する側、雇用される側、両者の立場からどういった要件が必要か解説させていただきました。

他にも要件は多数ありますが、全体像を知っていただくためには充分わかっていただける内容かと存じます。

当事務所は建設業許可を専門に申請代行を行なっております。ぜひお気軽にお申し付けください。

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