【建設業許可】支店の業種追加は変更届?業種追加申請?営業所ごとの手続きを解説

【建設業許可】支店の業種追加は変更届?業種追加申請?営業所ごとの手続きを解説
「支店でも建築一式工事を請け負えるようにしたい」
このとき必要になるのは、業種追加の申請でしょうか。それとも変更届でしょうか。
どちらも「業種を追加する」という同じ言葉で語られるため、非常に混同されやすいところです。
実は、この2つは会社としてその業種の許可を既に持っているかどうかで分かれます。
ここを取り違えると、本来かからないはずの5万円の手数料を払ってしまったり、逆に届出の期限を過ぎてしまったりします。
今回は、営業所の業種を追加するときの手続きの分かれ目について、建設業法の条文と、福岡県および国土交通省の手引きをもとに解説いたします。
1.結論:会社がその業種の許可を持っているかで分かれます
まず結論からお伝えします。
営業所に業種を追加したいとき、必要な手続きは次の2つに分かれます。

手続きの分かれ目
- 会社が既に持っている業種を別の営業所へ:変更届(様式第22号の2)の提出だけで足ります。手数料はかかりません
- 会社が持っていない業種を新たに取る:業種追加の申請が必要です。福岡県知事許可なら手数料5万円
- 判断の順番:「支店にあるか」ではなく「会社にあるか」から先に確認します
ポイント:「支店が持っている許可」という考え方はありません
混同が起きるのは、「東京支店は今は電気工事だけ」という言い方をするためです。
これは営業所一覧表という、どの営業所でどの業種を扱うかを書いた書類の上での話であって、許可そのものは会社に対して、業種ごとに与えられています。
建設業法にも次のとおり定められています。
第三条(建設業の許可)
出典:建設業法 第3条(e-Gov法令検索)
2 前項の許可は、別表第一の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに、それぞれ同表の下欄に掲げる建設業に分けて与えるものとする。
この条文が定めているのは、工事の種類ごとに許可を分けるということだけです。
営業所ごとに許可を分けるという規定は置かれていません。
ですから、会社がすでに許可を持っている業種であれば、支店でその業種を営業できるようにすることは、新しい許可をもらう手続きではないのです。
なお、そもそも営業所ごとに許可業種が違っていてよいのか、という点については下記の記事で解説しています。

2.手続きと必要書類
ここからは、それぞれの手続きを具体的に見ていきます。
①変更届になる場合
ポイント:会社がすでに持っている業種なら、届出だけで足ります
本店で建築一式工事の許可を受けている会社が、支店でも建築一式工事を営業できるようにする場合がこちらです。
会社としては既に建築一式工事の許可を持っているため、新たに許可をもらう手続きは必要ありません。
変更届出書を提出するだけで足り、許可手数料もかかりません。
変更届については、建設業法に次の定めがあります。
第十一条(変更等の届出)
出典:建設業法 第11条(e-Gov法令検索)
許可に係る建設業者は、第五条第一号から第五号までに掲げる事項について変更があつたときは、国土交通省令の定めるところにより、三十日以内に、その旨の変更届出書を国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
なお、営業所ごとに営業する業種そのものは、条文に列挙された届出事項として書かれているわけではありません。
実際の届出は、建設業法施行規則の様式第22号の2(第二面)に「営業しようとする建設業の変更」という区分が設けられており、各許可行政庁がこれを30日以内の届出事項として運用しています。
福岡県の手引きでは、30日以内に届け出るものが次のように整理されています。
事実の発生から30日以内に届出を行う必要があるもの
- ア 商号又は名称を変更したとき
- イ 既存の営業所について、(ア)その名称(イ)所在地(ウ)営業所において営業を行う建設業の種類のいずれかを変更したとき
- ウ 資本金額(又は出資総額)に変更があったとき
- エ 婚姻等により法人の役員等、個人の事業主又は支配人の氏名に変更があったとき
- オ 営業所の新設をしたとき
- カ 役員等、支配人に変更があったとき
※出典:福岡県「建設業許可の手引き」125〜126頁
営業所の名称や所在地の変更と、まったく同じ扱いになっていることが分かります。
手引きではこのイの欄に、使う様式として①(変更届出書 第一面)が指定され、添付書類として商業登記事項証明書等・営業所の代表者や技術者に関する書類・営業所の写真提出用台紙が挙げられています。
ポイント:技術者の届出は2週間以内なので、実際は2週間が期限になります
ただし、期限はもう一つ確認しておく必要があります。
業種の追加そのものは30日以内の届出ですが、営業所技術者に関する届出は2週間以内と、より短い期限が定められているためです。
福岡県の手引きでも「営業所の営業所技術者(専任技術者)を変更したとき」は2週間以内の届出に分類されています。
事実の発生から2週間以内に届出を行う必要があるもの
- ア 常勤役員等(経営業務の管理責任者)を変更したとき
- イ 婚姻等により経営業務の管理責任者となっている者の氏名が変更となったとき
- ウ 営業所の専任技術者を変更したとき
- エ 婚姻等により営業所の専任技術者となっている者の氏名が変更となったとき
- オ 新たに営業所の代表者になった者があるとき
- カ 経営業務の管理責任者又は営業所の専任技術者に係る基準を満たさなくなったとき
- キ 法第8条第1号及び第7号から第11号までのいずれかに該当するに至ったとき
- ク 健康保険等の加入状況に変更があったとき
※出典:福岡県「建設業許可の手引き」【許可を受けた後の届出等】124頁
この枠は技術者を新たに追加する場合も同じです。
支店に業種を足すときは技術者の届出が必ずセットになりますので、30日ではなく、短いほうの2週間以内に一括で提出してください。
ポイント:使う様式は「変更届出書(様式第22号の2)」です
実際の様式を見ていただくのが早いと思います。
第一面の冒頭には届出事項が(1)から(8)まで並んでおり、(2)に「営業所の名称、所在地又は業種」と書かれています。
営業所の業種を変えることが、この様式で届け出る事項だとはっきり分かります。

業種の内容を書くのは第二面です。
第二面は区分を選ぶ形になっていて、業種の追加は「2.営業しようとする建設業又は従たる営業所の所在地の変更」を選びます。
そのうえで、①所在地の変更・②業種の追加・③業種の廃止のどれに当たるかを内容欄に記入します。

業種を追加する部分だけを取り出すと、次のようになっています。
久留米支店の「営業しようとする建設業」の欄に変更後の業種をすべて書き、その下の「変更前」の欄に従前の業種を書くという書き方です。
追加する業種だけを書くのではなく、変更後の状態を全部書く点にご注意ください。

※様式と記載例の全体は福岡県「建設業許可の手引き」許可事項の変更届出等(PDF)でご確認いただけます。
ここで見落としやすいのが技術者の書類です。
その営業所でその業種を営業する以上、追加する業種を担当する営業所技術者をその営業所に置かなければなりません。
技術者に関する書類がそろっていないと補正を求められますので、技術者の証明書と、資格や実務経験を証する書類をあわせて用意してください。
なお、すでにその営業所にいる技術者が担当する業種を増やすだけであれば、常勤性を確認する書類までは求められず、追加する業種の資格を示す書類で足りることがあります。
営業所の業種を追加するときの主な提出書類
- 変更届出書(様式第22号の2)第一面:会社の基本情報を記載します
- 変更届出書(様式第22号の2)第二面:営業所名と、変更後に営業しようとする建設業を記載します
- 営業所技術者等証明書(新規・変更)(様式第8号):追加する業種を担当する技術者を証明します。福岡県の手引きでは旧称の「専任技術者証明書」と表記されています
- 資格を証する書類または実務経験証明書:合格証明書の写し、または実務経験証明書(様式第9号)と裏付け資料。特定建設業の業種を実務経験で証明する場合は指導監督的実務経験証明書(様式第10号)も必要です
- 健康保険の加入を証する書類:その営業所に常勤していることを確認するために提出します
- 営業所の写真提出用台紙:福岡県は営業所の確認を書面審査で行うため、写真の提出を求められることがあります
- 商業登記事項証明書等:登記の内容に変更がある場合に添付します
※必要書類は許可行政庁によって細部が異なります。福岡県知事許可の場合は福岡県「建設業許可の手引き」の変更届出等の一覧表をご確認ください。
営業所が複数の都道府県にある大臣許可の場合も、扱いは同じです。
関東地方整備局の手引きには、変更届の一覧のNo.9に「主たる・従たる営業所の業種の追加又は廃止」という項目が置かれ、届出期間は30日以内とされています。
変更届一覧 No.9「主たる・従たる営業所の業種の追加又は廃止」
- 届出期間:30日以内
- 注記:※既存の許可業種内での変更
- 必要書類:①22号の2 変更届出書(第一面・第二面)
- あわせて提出:No.13(営業所技術者等の変更・追加・削除)に係る届出も同時に提出
注記のとおり、届出で済むのはあくまで会社が持っている業種の範囲内での変更に限られます。
会社として持っていない業種であれば、大臣許可でも業種追加の申請になるということです。
②業種追加の申請になる場合
ポイント:会社として初めて取る業種は、別個の新しい許可になります
会社としてまだ管工事の許可を持っていない場合に、支店で管工事を請け負えるようにするケースがこちらです。
この場合は届出では足りず、別個の新しい許可を受ける手続きになります。
福岡県の手引きにも、次のようにはっきりと書かれています。
新たな業種を取るときは「許可の変更」ではありません
- いったん許可を受けた後、別の新たな建設業について許可を受けようとする場合は、許可の変更ではなく、別個の新規の許可となる
- =変更届では足りず、業種追加の申請が必要になります
※出典:福岡県「建設業許可の手引き」3 許可事項の変更届出等を行う場合 123頁
審査を伴う手続きですので、その業種の営業所技術者の要件を満たしているかどうかが正面から問われます。
問われるのは技術者だけではありません。
経営業務の管理責任者、財産的基礎、欠格要件も改めて審査の対象になります。
とくに特定建設業で業種を増やす場合は財産的基礎の要件が厳しいため、要件の確認から始めてください。
ポイント:許可されなかった場合でも手数料は返ってきません
気になるのは費用だと思います。
福岡県の手引きでは、手数料が次のように定められています。
福岡県知事許可の手数料
- 新規の申請:9万円
- 更新・業種追加の申請:5万円
- 納付方法:福岡県領収証紙
- 一般と特定:同時に申請しても別個の許可として取り扱われます
- 還付:審査に対する手数料なので、許可を受けられなかった場合でも還付されません
※出典:福岡県「建設業許可の手引き」12.許可を受けるための手数料 39頁
同じ業種でも一般と特定を両方申請するのであれば、手数料はそれぞれ必要になります。
届出で足りるのか申請が必要なのかを先に見極めておくことは、費用の面でも大切です。
業種追加の申請そのものの流れや注意点は、下記の記事で詳しく解説しています。

3.間違えやすい3つのポイント
①一般と特定は営業所ごとに分けられません
ポイント:会社が特定で持つ業種は、支店でも特定の技術者が必要です
建設業許可には、下請に出す金額が大きい元請向けの特定建設業と、それ以外の一般建設業という区分があります。
この区分は業種ごとに会社単位で決まるもので、同じ業種について本店は特定建設業、支店は一般建設業という分け方はできません。
建設業法にも、ある業種について特定建設業の許可を受けると、同じ業種の一般建設業の許可は効力を失うと定められています。
第三条(建設業の許可)
出典:建設業法 第3条(e-Gov法令検索)
6 第一項第一号に掲げる者に係る同項の許可(第三項の許可の更新を含む。以下「一般建設業の許可」という。)を受けた者が、当該許可に係る建設業について、第一項第二号に掲げる者に係る同項の許可(第三項の許可の更新を含む。以下「特定建設業の許可」という。)を受けたときは、その者に対する当該建設業に係る一般建設業の許可は、その効力を失う。
ですから会社が特定建設業で持っている業種を支店に追加する場合は、その支店にも特定営業所技術者を置かなければなりません。
特定営業所技術者とは、特定建設業の営業所ごとに専任で置くことが求められる技術者のことで、一般建設業より重い要件が課されています。
手続き自体は届出で済んでも、人の要件はまったく軽くなりません。
ポイント:建築一式など7業種は、実務経験では特定の技術者になれません
さらに注意が必要なのが業種の別です。
土木一式・建築一式・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種は指定建設業と呼ばれ、特定営業所技術者は1級の国家資格者などに限られます。
ただし、施工技術(中略)の総合性、施工技術の普及状況その他の事情を考慮して政令で定める建設業(以下「指定建設業」という。)の許可を受けようとする者にあつては、その営業所ごとに置くべき専任の者は、イに該当する者又はハの規定により国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者でなければならない。
出典:建設業法 第15条(e-Gov法令検索)第2号ただし書/指定建設業の7業種は建設業法施行令第5条の2
指導監督的実務経験による証明は認められません。
この記事で例に挙げた建築一式工事も指定建設業ですので、支店に置く技術者を実務経験で証明することはできません。
指定建設業以外の業種であれば、一般建設業の要件に加えて、4,500万円以上の元請工事について2年以上の指導監督的実務経験があれば認められます。
②届出を怠ると罰則があります
ポイント:届出だから軽い、ということはありません
変更届の提出は義務です。
提出しなかった場合や、虚偽の記載をして提出した場合には罰則が定められています。
第五十条
出典:建設業法 第50条(e-Gov法令検索)
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
(第一号 略)
二 第十一条第一項から第四項まで(第十七条において準用する場合を含む。)の規定による書類を提出せず、又は虚偽の記載をしてこれを提出したとき。
罰則だけではありません。
関東地方整備局の手引きは、届出を怠った場合について次のように注意を促しています。
届出をしなかった場合に起こること
- 建設業法第50条による罰則の対象になります
- 提出期限内に提出がされない場合、提出できない理由と再発防止策の報告を求められることがあります
- 必要な届出がされないと、許可申請の手続きを行うことができない場合があります
※出典:国土交通省関東地方整備局「建設業許可申請・変更の手引き」4.許可取得後の手続き20頁。手引きは「6月以下の懲役」と表記していますが、現行法では拘禁刑です。
届出を落とすと、更新や業種追加といった先の手続きで足を止められることになります。
期限は必ず守ってください。
③業種を減らすときも同じ届出が必要です
ポイント:会社の許可は残るので、廃業届ではありません
追加と同じく、営業所で扱う業種をやめるときにも30日以内の届出が必要です。
先ほどの第二面でいえば「③業種の廃止」の欄に記入します。
このとき注意していただきたいのは、廃業届とは別物だという点です。
ある営業所で業種をやめても、他の営業所で引き続きその業種を営業するのであれば、会社としての許可は残ります。
あくまで営業所一覧表の記載を変える届出になります。
なお、業種をやめたことでその営業所の営業所技術者が担当する業種を失う場合には、技術者に関する届出も必要になります。
この届出も2週間以内とされていますので、期限の違いにご注意ください。
4.まとめ
以上、【建設業許可】支店の業種追加は変更届?業種追加申請?営業所ごとの手続きを解説いたしました。
この記事のまとめ
- 判断基準は会社が持っているかどうか:支店にあるかどうかではありません
- 会社が持っている業種を支店へ:変更届(様式第22号の2)を提出します。手数料は不要です
- 会社が持っていない業種:業種追加の申請。福岡県知事許可なら手数料5万円がかかります
- 実際の期限は2週間以内:変更届は30日以内ですが、技術者の届出が2週間以内なので短いほうに合わせます
- 第二面は変更後の全業種を書く:追加する業種だけを書くのではありません
- 一般と特定は分けられません:会社が特定で持つ業種は支店にも特定の技術者が必要です。建築一式など7業種は実務経験では認められません
- 届出を怠ると罰則があります:6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です
営業所の体制を変えるときは、届出で足りるのか申請が必要なのかによって、費用も期限も準備する書類も変わります。
判断に迷われたときは、着手される前に一度当事務所へご相談ください。
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