【建設業許可】建設工事施工統計調査とは?回答義務・いつの決算で答えるか・用意する書類

専門行政書士が解説

【建設業許可】建設工事施工統計調査とは?回答義務・いつの決算で答えるか・用意する書類

建設業許可を受けている会社には、毎年夏ごろ、国土交通省から「建設工事施工統計調査のお願い」という書類が届くことがあります。
中にはQRコードとパスワードが書かれていて、9月30日までにWebで回答するよう求められます。

表題が「〜のお願い」となっているため、任意のアンケートだと思って後回しにしてしまう方も少なくありません。
しかし、この調査は統計法に基づく国の調査で、届いた会社には回答する義務があります。

この記事では、建設工事施工統計調査とはどんな調査か、回答しないとどうなるのか、いつの決算の数字を答えるのか、回答のときに用意する書類と締切を解説します。

1.建設工事施工統計調査とは

建設工事施工統計調査とは

①国が毎年行う「基幹統計調査」

ポイント:統計法に基づく国の重要な統計を作るための調査です

建設工事施工統計調査は、国土交通省が毎年行っている調査です。
建設業者が1年間に施工した工事の金額(完成工事高)や就業者数などを集め、建設業の実態を明らかにすることを目的としています。
統計法では、国の統計の中でも特に重要なものを「基幹統計」と呼んでおり、この調査は基幹統計である「建設工事統計」を作るための調査(基幹統計調査)にあたります。

調査の中身は、国土交通省の省令「建設工事統計調査規則」で決められています。
建設工事統計調査には、毎月の受注を調べる「建設工事受注動態統計調査」と、年に1回、決算の数字を調べる「建設工事施工統計調査」の2つがあり、この記事で扱うのは後者です。
集められた結果は、国土交通白書や建設行政の施策の基礎資料などに使われています(国土交通省「建設工事施工統計調査ガイド」)。

②調査の対象になる建設業者

ポイント:国土交通大臣許可の業者は全数、知事許可の業者は資本金や業種によって全数または抽出です

この調査は、許可を受けている建設業者のうち、国土交通大臣が指定した業者が対象です。
国土交通省が公表している抽出の方法は、次のとおりです。

許可の区分対象になる業者
国土交通大臣許可全数
知事許可(資本金又は出資金が3,000万円以上)全数
知事許可(舗装・板金・さく井の許可を持つ業者)全数
知事許可(上記以外)資本金の階層や業種ごとに分けて抽出(都道府県別)
建設工事施工統計調査の抽出方法 出典:国土交通省「建設工事統計調査の概要」

全国で約11万の建設業者が対象になっています(国土交通省「建設工事施工統計調査ガイド」)。
福岡県知事許可の会社でも、資本金や許可業種によっては毎年届きますし、抽出で選ばれれば届きます。
そのため、年によって届いたり届かなかったりすることもあります。

③よく似た「下請取引等実態調査」とは別の調査

ポイント:「下請取引等実態調査」は、根拠も期限も違う別の調査です

国土交通省から建設業者に届く調査には、もう一つ「下請取引等実態調査」があります。
こちらは建設業法に基づいて国土交通省と中小企業庁が行うもので、元請・下請の取引の実態(価格転嫁や約束手形の利用状況など)を調べる調査です。
令和8年度は無作為に抽出された30,000者が対象で、回答期限は8月25日でした(国土交通省「令和8年度下請取引等実態調査への回答のお願い」)。

どちらも「国土交通省からの調査」なので混同しやすいのですが、届いた書類の表題を見て、「建設工事施工統計調査」か「下請取引等実態調査」かを確かめてから対応しましょう。

2.建設工事施工統計調査に回答する義務はある?

統計調査の報告義務と罰則

①統計法で「報告義務」が定められている

ポイント:調査票が届いた会社は、回答を拒んだり、うその回答をしたりしてはいけません

基幹統計調査で報告を求められた会社の義務は、統計法第13条に定められています。

(報告義務)第十三条
行政機関の長は、第九条第一項の承認に基づいて基幹統計調査を行う場合には、基幹統計の作成のために必要な事項について、個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる。
2 前項の規定により報告を求められた個人又は法人その他の団体は、これを拒み、又は虚偽の報告をしてはならない。

出典:統計法 第13条(e-Gov法令検索)

国土交通省の手引きでも、統計法上、報告は義務であるとして、調査対象の会社に必ず回答するよう求めています(国土交通省「建設工事施工統計調査の実施についてのお願いとWeb回答の手引き」(令和8年6月)1頁)。
なお、回答した内容は統計法の規定により保護されています(手引き1頁、統計法第41条)。

②回答を拒んだり、うその回答をしたりした場合の罰則

ポイント:報告を拒んだり、うその報告をしたりすると、50万円以下の罰金の対象になります

統計法には、報告義務に違反した場合の罰則もあります。

第六十一条
次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十三条の規定に違反して、基幹統計調査の報告を拒み、又は虚偽の報告をした個人又は法人その他の団体(法人その他の団体にあっては、その役職員又は構成員として当該行為をした者)

出典:統計法 第61条(e-Gov法令検索)

会社の場合、罰金の対象になるのは、報告を拒んだり虚偽の報告をしたりした役員や従業員です。
また、国は正確な報告を求めるために必要があるときは、資料の提出を求めたり、帳簿や書類を検査したりすることもできます(統計法第15条)。
罰則まで定められた義務ですので、「ただのアンケートだから答えなくてもよい」ものではないことを押さえておきましょう。

③工事の実績がなくても提出する

ポイント:完成工事高が0円の年でも、回答の提出が求められています

「今年は工事をしていないから関係ない」と思われるかもしれませんが、手引きでは、1年を通じて活動の実績がない(完成工事高が0円の)場合でも、確認のため提出するよう求められています(手引き1頁)。

3.いつの決算の数字を、どうやって回答する?

建設工事施工統計調査のWeb回答

①回答するのは「3月31日までに終わった直近の決算」

ポイント:3月決算以外の会社は、決算月によっては、いちばん最近の決算ではなく1つ前の決算期の数字になります

どの時点の数字を答えるのか(調査の期日)は、建設工事統計調査規則第6条で決まっています。

(調査の期日)第六条
動態調査は、毎月末日現在によつて、施工調査は、決算期終了の日が三月三十一日である建設業者にあつては毎年三月三十一日現在、その他の建設業者にあつては毎年三月三十一日前の直近の決算期終了の日現在によつて行う。

出典:建設工事統計調査規則 第6条(e-Gov法令検索)

3月決算の会社は、調査の年の3月31日に終わった決算期の数字を答えます。
それ以外の会社は、調査の年の3月31日より前に終わった、いちばん新しい決算期の数字です。
調査票が届くころには、決算月によってはもう一つ新しい決算期が終わっていることもありますが、そちらは対象になりません。
「いちばん最近の決算」と思い込まず、3月31日を基準に、どの決算期かを確かめてから数字を拾いましょう。

②手元に用意する書類は、決算変更届の控え

ポイント:決算変更届(事業年度終了届)の控えを手元に置くと、主な数字はそこから拾えます

国土交通省の手引きでは、回答にあたって次の書類を手元に用意するよう案内されています。
ほとんどが、毎年の決算後に許可行政庁へ提出する決算変更届(事業年度終了届)に綴じる書類です。

回答のときに用意する書類(建設業法施行規則の様式)
  • 様式第二号(工事経歴書)
  • 様式第三号(直前3年の各事業年度における工事施工金額)
  • 様式第四号(使用人数)※決算変更届では変更があったときに提出
  • 様式第十五号/第十八号(貸借対照表:法人/個人)
  • 様式第十六号/第十九号(損益計算書・完成工事原価報告書:法人/損益計算書:個人)

※出典:国土交通省「建設工事施工統計調査の実施についてのお願いとWeb回答の手引き」(令和8年6月)2頁

調査で聞かれるのは、業態別の工事の種類、就業者数、国内建設工事の年間完成工事高・年間受注高、有形固定資産、兼業売上高、建設業の完成工事原価や販売費・一般管理費などです(建設工事統計調査規則第7条第2項)。
完成工事高は、元請工事と下請工事に分けて入力します(手引き25頁)。
決算変更届を提出していれば、回答に使う主な数字はその書類にまとまっています。
決算変更届は決算後4か月以内に提出が必要な書類なので、まだ提出していない場合はあわせて準備しましょう。

なお、Web回答の金額の単位はすべて「百万円」です(手引き21頁)。
決算変更届の書類は原則として千円単位で作るので、単位を取り違えないよう注意しましょう。
また、回答の最初に、金額を税込・税抜のどちらで入力するかを選ぶ欄があります(手引き24頁)。

③回答はWebで、締切は毎年9月30日

ポイント:届いた書類のQRコードからWebで回答します。送信後は自分では直せません

回答は、届いた「建設工事施工統計調査のお願い」に書かれたQRコード(またはURLとパスワード)から、Web上で入力します。
締切は、建設工事統計調査規則で毎年9月30日と決められています(令和8年度の回答期間は7月1日から9月30日まで。国土交通省「建設工事施工統計調査ガイド」)。

(報告の義務及びその方法)第八条
4 施工調査指定建設業者は、建設工事について、前条第二項各号に掲げる事項を、国土交通大臣が定める調査票により、毎年九月三十日までに当該者の主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事に報告しなければならない。

出典:建設工事統計調査規則 第8条第4項(e-Gov法令検索)

回答で気をつけたい点は、次のとおりです。

Web回答で気をつけたいこと
  • 途中で保存して、あとから続きを入力できる(「あとで続きをする」ボタン)
  • 「送信する」を押すと回答はロックされ、自分では修正できない。修正したいときは、画面下の問い合わせフォームから修正を申し出る
  • 後日、回答の内容について電話などで確認されることがあるので、送信前の確認画面を印刷して保管しておく
  • 国土交通大臣許可の業者と、知事許可で資本金又は出資金が2,000万円以上の法人は、続けて「調査票(2)」(元請工事の内容)にも回答する(調査対象を決める3,000万円とは別の基準です)

※出典:国土交通省「建設工事施工統計調査の実施についてのお願いとWeb回答の手引き」(令和8年6月)1頁・7頁・11頁・12頁・14頁

締切を過ぎてしまったときは、そのままにせず、届いた書類に書かれている調査事務局に問い合わせて、回答の方法を確認しましょう。
調査事務局の連絡先は、国土交通省「建設工事統計調査」のページにも掲載されています。

4.まとめ

以上、建設工事施工統計調査の内容と、回答の義務、回答のときの注意点について解説いたしました。

この記事のポイント
  • 建設工事施工統計調査は、統計法に基づく国の基幹統計調査で、毎年行われている
  • 国土交通大臣許可の業者は全数、知事許可の業者は資本金や業種によって全数または抽出で対象になる
  • 届いた会社には報告義務があり、報告を拒んだり虚偽の報告をしたりすると、その行為をした人(会社なら役職員)が50万円以下の罰金の対象になる
  • 完成工事高が0円の年でも、確認のため提出が求められている
  • 答えるのは、3月31日までに終わった直近の決算期の数字(3月決算なら3月31日現在)
  • 回答には決算変更届の控えを使う。Webの金額は百万円単位、締切は毎年9月30日
  • 送信すると回答はロックされ、自分では修正できない
  • 夏に届く「下請取引等実態調査」は、根拠も期限も違う別の調査

調査票の数字のもとになる決算変更届や工事経歴書について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

決算変更届の控えが見当たらないときや、毎年の決算変更届の作成・提出でお困りのときは、お気軽に当事務所までご相談ください。

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