【建設業許可】500万円未満の軽微な工事でも主任技術者は必要?配置ルールを解説

【建設業許可】500万円未満の軽微な工事でも主任技術者は必要?配置ルールを解説
「500万円未満の工事なら建設業許可はいらないのだから、主任技術者も置かなくてよい」と考えていませんか。
主任技術者とは、工事現場で施工の技術的な管理をする技術者のことです。
実は、建設業許可を受けている会社(許可業者)は、請負金額が500万円未満の軽微な工事であっても、原則として工事現場に主任技術者を置かなければなりません。
軽微な工事で不要になるのは「許可」であって、「主任技術者」ではないからです。
この記事では、軽微な工事と主任技術者の関係、押さえておきたいポイント、決算変更届の工事経歴書や経審で問題になる点を解説します。
工事現場に置く技術者の種類や、許可を受けずに工事をした場合の罰則について詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
1.許可業者は、金額に関係なく主任技術者を置く

①「軽微な工事」で不要になるのは許可だけ
ポイント:軽微な工事は「許可がなくても請け負える」というだけです
建設業法では、請負金額が500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満など)の工事を「軽微な建設工事」(以下「軽微な工事」)としています。
軽微な工事だけを請け負う業者は、建設業許可を受けなくても営業できます(建設業法第3条第1項ただし書)。
一方、主任技術者を置く義務を定めた第26条には、この例外がありません。
軽微な建設工事(建設業法施行令第1条の2)
- 建築一式工事以外:工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
- 建築一式工事:工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事、または延べ面積150㎡未満の木造住宅を建設する工事
- 請負代金の額:消費税込み。契約を分けたときは(正当な理由がある場合を除き)合計額、注文者が材料を支給したときは材料の市場価格等を加えた額
※出典:建設業法施行令第1条の2、福岡県「建設業許可の手引き」(第1 建設業許可のあらまし)1頁
②建設業法第26条は、請負金額で区別していない
ポイント:条文に金額の条件はなく、小さな工事でも下請工事でも主任技術者が必要です
(主任技術者及び監理技術者の設置等)第二十六条
出典:建設業法 第26条第1項(e-Gov法令検索)
建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。
ここでいう「建設業者」とは、建設業許可を受けた業者のことです(建設業法第2条第3項)。
条文には「請負金額が〇〇円以上のとき」といった条件がありません。
国土交通省も、技術者制度についての「よくある問合せ」の中で、次のように回答しています。
主任技術者の設置が必要となる建設工事の要件
- 建設業者は、請け負った建設工事を施工するときは、請負代金の大小、元請・下請にかかわらず、工事現場に主任技術者を置かなければならない
※出典:国土交通省「よくある問合せ(技術者制度)」(令和8年2月26日時点)をもとに当事務所で要約
つまり、許可業者が許可を受けた業種の工事を請け負うなら、100万円の修繕工事でも、下請として入る工事でも、原則として主任技術者が必要です。
例外は、鉄筋工事・型枠工事の下請で、元請の主任技術者がまとめて管理する「特定専門工事」の特例(第26条の3)などに限られます。
一方、許可を一つも持たずに軽微な工事だけを請け負っている業者は「建設業者」に当たらないため、この義務はありません。
③主任技術者を置かないと罰則・監督処分の対象になる
ポイント:会社にも罰金が科され、許可の取消しにつながるおそれがあります
第五十二条
出典:建設業法 第52条(柱書・第1号)(e-Gov法令検索)
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。
一 第二十六条第一項から第三項まで又は第二十六条の三第七項の規定による主任技術者又は監理技術者を置かなかつたとき。
罰金は違反した担当者だけでなく、会社(法人)にも科されます(第53条)。
建設業法違反で罰金刑を受けると許可の欠格要件に当たり(第8条第8号)、許可は取り消されます(第29条第1項第2号)。
また、罰金とは別に、許可行政庁から指示処分を受けたり(第28条第1項)、指示に従わない場合などに1年以内の営業停止を命じられたりすることもあります(第28条第3項)。
「小さな工事だから」と油断していると、会社の許可そのものを失いかねません。
2.軽微な工事の主任技術者で押さえておきたい3つのポイント

①主任技術者は「誰でもよい」わけではない
ポイント:軽微な工事でも、資格か実務経験のある人でなければなりません
主任技術者になれる人の要件は、営業所技術者(旧:専任技術者)と同じです。
その工事の業種について、次のいずれかに当てはまる人でなければなりません。
主任技術者になれる人(建設業法第7条第2号イ・ロ・ハ)
- 指定学科の卒業+実務経験:高校・中等教育学校の指定学科を卒業後5年以上、大学・高等専門学校の指定学科を卒業後3年以上
- 実務経験:その業種の工事について10年以上
- 国家資格など:1級・2級の施工管理技士など、業種ごとに定められた資格
「現場をまとめている職長だから」「社長だから」というだけでは、主任技術者にはなれません。
また、主任技術者は自社と直接的かつ恒常的な雇用関係にある人でなければなりません。
在籍出向者や派遣社員、一つの工事の期間だけ雇った人などは、原則として認められません(企業集団内の出向など一部に特例があります)。
※出典:国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル」二-四、近畿地方整備局「建設業法に基づく適正な施工体制と配置技術者」(令和7年4月)10頁
ご自身の学科が指定学科に当たるかを確認したい方や、営業所技術者が主任技術者を兼ねられる条件をもっと詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
②現場に専任が必要なのは、一部の大きな工事だけ
ポイント:専任が不要な工事なら、ほかの現場や営業所との兼務もできます
主任技術者をその現場だけに専従させる(専任)必要があるのは、公共性のある施設や多数の人が利用する施設などの重要な工事で、請負金額が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上のものです(建設業法第26条第3項、施行令第27条)。
軽微な工事では専任は求められないため、主任技術者がほかの現場と兼務することもできます。
営業所技術者も、その営業所で契約した工事で、営業所と現場が近いなど一定の条件を満たせば、主任技術者を兼ねることができます。
「置く」ことは必要でも、「その現場に張り付く」ことまでは求められていません。
この違いを押さえておくと、人手の少ない会社でも無理なく体制を組めます。
専任が必要になる4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上の工事について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

③許可を受けていない業種の軽微な工事は、許可行政庁に確認を
ポイント:条文上は必要と読めますが、はっきり書いた資料が少ないため確認しておきましょう
例えば、内装仕上工事の許可だけを持つ会社が、300万円の屋根工事を請け負った場合です。
屋根工事の許可はありませんが、軽微な工事なので請け負うこと自体はできます。
第26条第1項は「その請け負つた建設工事」と書いており、業種による区別はしていません。
すぐ後の第26条の2(一式工事業者・附帯工事の専門技術者)には「軽微な建設工事を除く」という除外がわざわざ書かれているのに、第26条第1項にはありません。
そのため、条文上は、この場合も主任技術者が必要と読むのが素直です。
このとき主任技術者になるのは、内装ではなく屋根工事について資格や実務経験を持つ人です。
社内に該当する人がいなければ、受注の仕方そのものを見直す必要があります。
ただし、行政の資料の中には「許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合には、主任技術者を置かなければなりません」と、許可業種を前提にした書き方のものもあり、許可のない業種の工事について正面から書いた資料は多くありません。
許可のない業種の工事を請け負うことがある場合は、許可を受けた行政庁(福岡県知事許可なら福岡県)に取り扱いを確認しておくと安心です。
3.配置技術者は、決算変更届の工事経歴書や経審でも確認される

①工事経歴書の「配置技術者」欄は、第26条の技術者を書く欄
ポイント:主任技術者の要件を満たさない人の名前は書けません
毎年の決算変更届で提出する工事経歴書には、工事ごとに「配置技術者」の欄があります。
記載要領では、この欄について次のように定められています。
工事経歴書(様式第二号)記載要領8
- 「配置技術者」の欄は、完成工事について、法第26条第1項又は第2項の規定により各工事現場に置かれた技術者の氏名及び主任技術者又は監理技術者の別を記載すること
- 工事の施工中に配置技術者の変更があった場合には、変更前の者も含むすべての者を記載すること
- 監理技術者補佐を置いた場合又は特定専門工事に該当し主任技術者を配置しなかった場合はその旨を記載すること
※出典:福岡県「経営事項審査の手引き」(令和7年3月改訂版)77頁
つまり、軽微な工事であっても、この欄に書くのは主任技術者の要件を満たす人です。
資格も実務経験もない人の名前を書くと、事実と異なる記載になってしまいます。
②経審では、契約書や技術職員名簿と一緒に見られる
ポイント:工事経歴書・契約書・技術職員名簿の内容に食い違いがないようにしましょう
経営事項審査(経審)では、工事経歴書のほかに、工事経歴書に書いた工事のうち請負金額の大きい上位の工事の契約書や、技術職員名簿も提出します。
契約書の工期・金額と工事経歴書が合っているか、配置技術者として書いた人の資格や雇用が説明できるかなど、書類どうしの整合性が大切です。
工事経歴書は経審の点数の元になる書類なので、配置技術者の欄も含めて、実態どおりに書くことが大前提です。
経審の申請で確認されやすい点をもっと詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

4.まとめ
以上、500万円未満の軽微な工事と主任技術者の配置ルールについて解説いたしました。
この記事のポイント
- 軽微な工事で不要になるのは建設業許可であって、主任技術者を置く義務はなくならない
- 許可業者は、請負金額の大小、元請・下請にかかわらず、原則として請け負った工事に主任技術者を置く
- 置かなかった場合は会社にも罰金が科され、許可の取消しや営業停止につながるおそれがある
- 主任技術者は、資格または実務経験があり、自社と直接的かつ恒常的な雇用関係にある人に限られる
- 専任が必要なのは一部の大きな工事だけで、軽微な工事なら兼務もできる
- 許可のない業種の軽微な工事は、許可行政庁に取り扱いを確認する
- 工事経歴書の配置技術者欄には、主任技術者の要件を満たす人を書く
工事経歴書の配置技術者の書き方や、主任技術者になれる人がいるかどうかで迷ったときは、お気軽に当事務所までご相談ください。
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5年ごとの更新手続き・毎年の決算変更届の提出
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