一括下請負(丸投げ)の禁止とは?例外・罰則と実質的関与の判断基準

一括下請負(丸投げ)の禁止とは?例外・罰則と実質的関与の判断基準
請け負った工事を、そのまま別の会社に任せてしまう。
いわゆる「丸投げ」は、建設業法で正面から禁止されています。
これを一括下請負の禁止といいます。
違反すると15日以上の営業停止処分が基準とされており、しかも処分は元請だけでなく、工事を受けた下請にも及びます。
ただ、実務では「どこからが丸投げなのか」がはっきりしないまま工事が進んでいることも少なくありません。
現場に技術者を置いていれば大丈夫なのか、利益を乗せていなければセーフなのか、子会社に任せる場合はどうなのか。
この記事では、条文と国土交通省の判断基準・Q&Aをもとに、判断の分かれ目と、発注者の承諾があれば例外が認められるケースまでを整理して解説します。
1.一括下請負とは?

①建設業法第22条で、出す側も受ける側も禁止されています
一括下請負は「いっかつしたうけおい」と読みます。
現場では「丸投げ」と呼ばれることの方が多いかもしれません。
そもそも「下請負」とは、請け負った建設工事の全部または一部を、さらに別の建設業を営む者に請け負わせることをいいます。
下請負そのものは、建設業ではごく普通に行われている契約の形であり、禁止されているわけではありません。
禁止されているのは、自らは施工にほとんど関わらないまま、工事をまとめて他社に請け負わせることです。

第二十二条 一括下請負の禁止
e-Gov法令検索 建設業法第22条
建設業者は、その請け負つた建設工事を、いかなる方法をもつてするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
2 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負つた建設工事を一括して請け負つてはならない。
第1項が「工事を出す側」、第2項が「工事を受ける側」の規定です。
つまり、丸投げした元請だけでなく、丸ごと引き受けた下請の側も建設業法違反になります。
「元請から言われて受けただけ」は、原則として理由になりません。
なお、第2項が対象にしているのは「建設業者」ではなく「建設業を営む者」です。
建設業許可を受けていない業者であっても、丸ごと引き受ければ第2項に違反します。
また、第1項には「いかなる方法をもつてするかを問わず」と書かれています。
契約書の作り方を工夫しても、名目を変えても、実態が丸投げであれば一括下請負と判断されるという意味です。
②一括下請負にあたるのは次の2つのパターンです
一括下請負に該当する2つのパターン
- 全部または主たる部分の丸投げ
請け負った建設工事の全部、またはその主たる部分について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合 - 独立して機能を発揮する部分の丸投げ
請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合
いずれも「自らは施工を行わず」という部分が前提になっています。
裏を返すと、丸ごと下請に出していても、元請がその施工に実質的に関与していれば一括下請負にはあたりません。
この「実質的な関与」の中身が、判断の分かれ目になります。
ポイント:該当するかどうかは請負契約1件ごとに判断します
一括下請負にあたるかどうかは、元請が請け負った建設工事1件ごとに判断します。
そして工事1件の範囲は、原則として請負契約の単位で区切ります。
そのため、別々に発注された工事を、施工場所や工期が重なるからといって、まとめて1件の工事として扱うことはできません。
本体工事とは別に入札・契約した外構工事だけを一括して下請に出せば、その外構工事の契約が一括下請負と判断されることになります。
③禁止されているのは、発注者の信頼と建設業全体を守るためです
一括下請負が禁止されている理由
- 発注者の信頼を損なうおそれがある
発注者は、建設業者の過去の施工実績や施工能力、社会的信用などを総合的に評価したうえで契約を結びます。しかし、請け負った工事をそのまま他の業者に一括で任せてしまうと、発注者の信頼を裏切ることにつながります。 - 建設業全体に悪影響を及ぼす可能性がある
一括下請負が認められると、中間搾取の発生、工事の品質低下、労働条件の悪化、施工責任の不明確化といった問題が生じるおそれがあります。さらに、施工能力を持たないブローカー的な事業者が増え、建設業の健全な発展を妨げる要因にもなりかねません。
2.こんなケースが一括下請負になります
国土交通省は、判断基準の明確化にあわせて一括下請負に関するQ&Aを公表しています。
①利益を一切乗せていなくても一括下請負になります
500万円で請け負った工事を、都合により自社で施工できなくなり、経費も利益も一切差し引かずに500万円のままA社に全部下請負させた場合はどうでしょうか。
この場合も一括下請負に該当します。
一括下請負が禁止されている一番の理由は、発注者を保護することにあります。
発注者は契約の相手方である建設業者の施工能力等を信頼して契約しています。
そのため、中間マージンを取っているかどうかは、一括下請負かどうかの判断では考慮されません。
②資材を提供しているだけでは一括下請負を避けられません
道路改修工事の全部をA社1社に下請負させたけれども、工事に必要な資材は元請として自社が調達して提供している、というケースです。
適正な品質の資材を調達することは、確かに品質管理の一つではあります。
しかし、資材の提供だけでは実質的に関与しているとはいえず、一括下請負に該当します。
③連結子会社への丸投げも一括下請負になります
特別な工法が必要なため、その技術を持つ子会社に実際の施工を行わせた、というケースです。
分社化は経営効率化のためであり、子会社とは連結関係にあるのだから問題ないのではないか、と考えたくなるところです。
しかし別々の会社である以上、連結子会社への丸投げも一括下請負にあたります。
親会社が自ら実質的な業務を行わないのであれば、親会社を介さず、発注者が直接子会社に請け負わせるのが適当とされています。
④複数社に分けて出しても、主たる部分の一括なら一括下請負になります
電線共同溝工事を請け負い、本体工事をB社に、信号移設工事や植栽・移植工事はそれぞれ別の業者に下請負させた、というケースです。
複数の業者と下請契約を結んでいれば一括ではない、と考えてしまいがちですが、そうとは限りません。
工事の主たる部分を1社に一括して請け負わせている場合は、元請が実質的に関与している場合を除いて一括下請負になります。
ただし国土交通省のQ&Aは、この電線共同溝の例そのものについては「実質的な関与の内容について精査が必要」としており、結論までは出していません。
分けて出したから安心、とはいえないという趣旨で受け取ってください。
⑤メーカーが認定工務店に施工させる場合も一括下請負になることがあります
機器・設備の設置工事を一次下請として請け負ったものの、自社は機器の製造だけを行い、実際の施工は自社が認定した工務店(二次下請)が行っている、というケースです。
設置マニュアルの作成や工務店の認定を行っているだけでは、現場における技術指導を行ったとはいえず、一括下請負にあたります。
ポイント:実態に合った契約形態を選べば、適法に整理できる場合があります
このような場合は、機器・設備については売買契約とし、建設工事の請負契約は元請が直接認定工務店と結ぶ形にするのが適当とされています。
設置工事の請負契約を自社で結ぶのであれば、監理技術者等を配置したうえで、施工計画の作成から技術的指導までを実際に行う必要があります。
メーカーの例のように、実際の役割分担に合わせて契約の相手方を組み替えれば、適法に整理できることがあります。
子会社の例も、発注者が直接子会社と契約すれば一括下請負の問題は生じません。
工事を受ける前の段階で契約の相手方と役割分担を検討しておけば、後から違反を指摘されるリスクを避けられる可能性が高いです。
※出典:国土交通省「建設工事における一括下請負の判断基準を明確化しました」別紙3(一括下請負に関するQ&A)をもとに要約
3.「実質的に関与」していれば一括下請負にはあたりません
「実質的に関与」とは、元請負人が自ら施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導などを行うことをいいます。
この中身は、国土交通省が平成28年10月14日付の通知(国土建第275号)で具体的に示しました。
それまでは「総合的に企画、調整及び指導を行うこと」という抽象的な書き方でしたが、この通知で元請と下請のそれぞれが何をすればよいのかが項目単位で明確になりました。
①元請負人は6分類のすべてを行う必要があります
発注者から直接工事を請け負った建設業者(元請負人)は、次の6分類に挙げられた事項をすべて行うことが必要とされています。
どれか一つでも欠けていれば、実質的に関与していると認められない可能性が出てきます。
元請負人が行うべき事項(すべて必要)
- 施工計画の作成:工事全体の施工計画書等の作成、下請負人が作成した施工要領書等の確認、設計変更等に応じた施工計画書等の修正
- 工程管理:工事全体の進捗確認、下請負人間の工程調整
- 品質管理:工事全体に関する下請負人からの施工報告の確認、必要に応じた立会確認
- 安全管理:安全確保のための協議組織の設置と運営、作業場所の巡視など、工事全体の労働安全衛生法に基づく措置
- 技術的指導:工事全体における主任技術者の配置等の法令遵守や職務遂行の確認、現場作業に係る実地の総括的技術指導
- その他:発注者等との協議・調整、下請負人からの協議事項への判断・対応、工事全体のコスト管理、近隣住民への説明
※出典:国土交通省「建設工事における一括下請負の判断基準を明確化しました」(平成28年10月14日)
②下請負人は6分類を「主として」行う必要があります
元請負人以外の建設業者、つまり一次下請以下の立場で工事を請け負った建設業者にも、同じ6分類の役割が求められます。
ただし、その範囲は限定されており、自分が請け負った範囲の工事について、主として行うこととされています。
下請負人が行うべき事項(主として行うことが必要)
- 施工計画の作成:請け負った範囲の施工要領書等の作成、さらに下の下請負人が作成した施工要領書等の確認、元請負人等の指示に応じた修正
- 工程管理:請け負った範囲の進捗確認
- 品質管理:請け負った範囲の立会確認(原則)、元請負人への施工報告
- 安全管理:協議組織への参加、現場巡回への協力など、請け負った範囲の労働安全衛生法に基づく措置
- 技術的指導:請け負った範囲の作業員の配置等の法令遵守、現場作業に係る実地の技術指導
- その他:注文者との協議、さらに下の下請負人からの協議事項への判断・対応、元請負人等の判断を踏まえた現場調整、請け負った範囲のコスト管理、施工確保のための下請負人調整
ポイント:同じ種類の工事を1社に再下請させる場合は3項目が必須です
下請負人が、自ら請け負った工事と同じ種類の工事について、さらに1社だけに下請契約を結ぶ場合には注意が必要です。
このケースでは、上の6分類を「主として」行うだけでは足りず、次の3つをすべて行うことが必須とされています。
- 請け負った範囲の工事に関する、現場作業に係る実地の技術指導
- 自らが受注した工事の請負契約の注文者との協議
- 下請負人からの協議事項への判断・対応
同じ種類の工事をそのまま1社に流す形は、外から見ると丸投げと区別がつきにくいため、より厳しい基準が置かれていると理解しておくとよいでしょう。
③技術者を置いているだけでは実質的関与になりません
建設業者は、建設業法第26条により、工事現場に主任技術者または監理技術者を置かなければなりません。
ただし、現場に技術者を置いているというだけでは、実質的に関与しているとは認められません。
実際に施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導を行っていることが必要です。
さらに、現場に置かれた技術者が、元請負人との間に直接的かつ恒常的な雇用関係を持たない場合も、実質的に関与しているとはいえないとされています。
名前だけを借りた技術者の配置では、一括下請負の疑いを晴らすことはできません。
④行政庁はヒアリングと帳簿で確認します
一括下請負の疑いがあるとき、行政庁はまず元請負人の主任技術者または監理技術者に対して、具体的にどのような作業を行っているのかヒアリングを行います。
その工事の施工管理について責任ある受け答えができるかどうかが、ここでのポイントになります。
必要に応じて、下請負人の主任技術者からも同じようにヒアリングが行われます。
あわせて確認されるのが、日々の作業打合せ簿・工事日報・安全指示書といった書類です。
これらの帳簿に具体的な作業内容が書かれていない場合や、書かれていても形式的な参加にとどまる場合は、一括下請負に該当する可能性が高いと判断されます。
逆にいえば、実際に施工管理を行ったうえで、その内容を打合せ簿や工事日報に具体的に残しておけば、実質的に関与していたことを説明できる可能性が高くなります。
4.例外が認められるのは、発注者の書面承諾がある民間工事だけです

①民間工事は事前に書面で承諾を得れば例外で一括下請負になりません
第二十二条 一括下請負の禁止
e-Gov法令検索 建設業法第22条
3 前二項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。
4 発注者は、前項の規定による書面による承諾に代えて、政令で定めるところにより、同項の元請負人の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより、同項の承諾をする旨の通知をすることができる。この場合において、当該発注者は、当該書面による承諾をしたものとみなす。
例外が認められるための条件は、次の3つです。
- 承諾を得る相手:建設工事の最初の注文者である発注者から承諾を得る必要があります
- 承諾のタイミング:一括下請負を行う前に、あらかじめ承諾を得なければなりません
- 承諾の方法:書面によることが原則です。第4項により、発注者があらかじめ元請負人の承諾を得たうえで、電子的な方法で承諾を通知することもできます(建設業法施行令第6条の5)
注意したいのは、承諾を得る相手が「発注者」であるという点です。
下請業者が請け負った工事をさらに別の業者へ一括して請け負わせる場合も、元請ではなく発注者から書面で承諾を得る必要があります。
ここを取り違えたまま進めてしまう例が少なくありません。
②共同住宅を新築する工事は、承諾があっても認められません
第22条第3項には「多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の」という条件が付いています。
この政令で定める工事にあたる場合は、発注者の承諾があっても例外は認められません。
その中身が、建設業法施行令第6条の4です。
第六条の四 一括下請負の禁止の対象となる多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事
e-Gov法令検索 建設業法施行令第6条の4
法第二十二条第三項の政令で定める重要な建設工事は、共同住宅を新築する建設工事とする。
「共同住宅を新築する建設工事」とは、一般的にはマンションやアパートを新築する工事が該当します。
一方で長屋を新築する工事は含まれません。
共同住宅か長屋かは、建築確認申請書やその添付図書で判別できます。
ポイント:共同住宅の新築はすべての下請契約が対象です
共同住宅を新築する工事では、元請と一次下請の間の契約だけでなく、その工事におけるすべての下請契約について一括下請負が禁止されます。
二次下請、三次下請の段階でも同じです。
事前に発注者の書面による承諾を得ていたとしても、主たる部分を一括して請け負わせることはできません。
③公共工事には例外が一切ありません
公共工事については、そもそも第22条第3項の例外規定が適用されません。
公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入札契約適正化法)で、次のように定められています。
第十四条 一括下請負の禁止
e-Gov法令検索 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第14条
公共工事については、建設業法第二十二条第三項の規定は、適用しない。
たった一文ですが、意味するところは大きいです。
公共工事では、発注者である国・特殊法人等・地方公共団体の承諾を得ても、一括下請負は一切認められません。
民間工事の感覚のまま公共工事を進めてしまうと、そのまま違反になります。
ここでいう「公共工事」は、国と地方公共団体だけではありません。
入札契約適正化法第2条第2項は「国、特殊法人等又は地方公共団体が発注する建設工事」と定めており、都市再生機構や高速道路会社などが発注する工事も含まれます。
発注元が民間の会社に見えても公共工事にあたる場合があるので、契約前に確認しておくと安全です。
④承諾を得ても元請の責任がなくなるわけではありません
発注者の承諾を得て一括下請負を行った場合でも、元請が請け負った工事に対する責任を免れるわけではありません。
技術者の配置など、建設業法で定められた義務は引き続き果たす必要があります。
ポイント:経営事項審査の完成工事高には含められません
一括下請負を行った工事については、自社が実際に施工を担当したとは見なされません。
そのため、承諾を得た適法な一括下請負であっても、その工事の金額を経営事項審査の完成工事高に含めることはできません。
公共工事の受注を目指している会社にとっては、点数に直接響く話になります。
5.違反すると15日以上の営業停止処分になります

①建設業法第28条の指示処分・営業停止処分の対象です
第22条違反は、建設業法第28条第1項第4号で、指示処分の対象として名指しされています。
さらに、指示処分に従わないときや、第1項各号に該当するときは、1年以内の期間を定めて営業の全部または一部の停止を命じられます(同条第3項)。
第二十八条 指示及び営業の停止
e-Gov法令検索 建設業法第28条
国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当する場合(中略)においては、当該建設業者に対して、必要な指示をすることができる。
四 建設業者が第二十二条第一項若しくは第二項又は第二十六条の三第九項の規定に違反したとき。
②監督処分の基準では「15日以上の営業停止」とされています
実際にどの程度の処分になるのかは、国土交通省の「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」に定められています。
一括下請負については、次のとおりです。
(5)一括下請負等 a
国土交通省 建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準(最終改正 令和8年1月28日国不建第172号)
建設業者が建設業法第22条の規定に違反したときは、15日以上の営業停止処分を行うこととする。ただし、元請負人が施工管理等について契約を誠実に履行しない場合等、建設工事を他の建設業者から一括して請け負った建設業者に酌量すべき情状があるときは、営業停止の期間について必要な減軽を行うこととする。
この基準は、条文上は国土交通大臣が監督処分を行う場合のものです。
ただし福岡県も「福岡県建設業法に基づく監督処分の基準」(令和7年12月12日改正)で、同じく「(5)一括下請負等 a 建設業者が建設業法第22条の規定に違反したときは、15日以上の営業停止処分を行う」と定めています。
福岡県知事許可の業者でも、扱いは変わりません。
※出典:福岡県建設業法に基づく監督処分の基準(令和7年12月12日改正)
営業停止処分で止められるのは、請負契約の締結や入札、見積りといった行為です。
処分を受ける前に契約した工事の施工は続けられますが、その期間は新しい仕事を取れません。
さらに、処分の事実が公表され、公共工事の入札参加資格にも影響します。
15日という日数以上に、会社の信用に対する影響が大きい処分です。
③工事を受けた下請にも処分が及びます
一括下請負では、丸投げした元請負人だけでなく、丸ごと引き受けた下請負人も監督処分の対象になります。
責任は、まず直接契約関係にある元請負人に問われます。
ただし、下請負人の側も、自分の責任の範囲と、元請の監理技術者・主任技術者による指導監督の系統を正確に把握しておく必要があります。
ポイント:元請に適格な技術者がいなければ下請も処分の対象です
元請に適格な技術者が配置されていると信じるに足りる特段の事情があり、後になって適格性がないと判明したといったやむを得ない事情がない限り、元請が実質的に関与しているといえない場合は、原則として下請負人も監督処分等の対象になります。
そもそも、誰が元請側の施工の責任者なのか分からない状態では、瑕疵が生じたときの責任の所在も不明確になってしまいます。
工事を受ける段階で、元請の現場責任者が誰なのかを確認しておくことが、自社を守ることにつながります。
なお、公共工事では、一括下請負と疑うに足りる事実があった場合に、発注者から通知が行われることになっています。
通知先は、その建設業者に許可を出した国土交通大臣または都道府県知事と、その営業が行われる区域を管轄する都道府県知事の2か所です。
実際に一括下請負があったと確定する前の、疑いの段階で通知の対象になります。
④刑事罰はありませんが、処分に従わなければ罰則があります
建設業法の罰則には、第22条違反を対象にした規定がありません。
つまり、一括下請負を行っただけでは、罰金や拘禁刑に問われることはありません。
技術者を配置しなかった場合(第26条違反)に100万円以下の罰金が定められている(第52条第1号)のとは、扱いが違います。
ただし、営業停止処分を受けたにもかかわらず営業を続けた場合は別です。
第四十七条
e-Gov法令検索 建設業法第47条
次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
三 第二十八条第三項又は第五項の規定による営業停止の処分に違反して建設業を営んだとき。
法人の場合は、行為者本人が罰せられるほか、法人に対しても1億円以下の罰金が科されます(第53条第1号)。
さらに、第28条第1項各号に該当して情状が特に重いときや、営業停止処分に違反したときは、許可を取り消さなければならないとされています(第29条第1項第8号)。
営業停止で終わらず、許可そのものを失うところまでつながっている、ということです。
6.まとめ
以上、一括下請負の禁止について解説しました。
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