【建設業許可】現場代理人と主任技術者の違いは?兼務できる?営業所技術者・経管の場合も解説

【建設業許可】現場代理人と主任技術者の違いは?兼務できる?営業所技術者・経管の場合も解説
工事の現場には、「現場代理人」と「主任技術者」という2つの立場があります。
どちらも現場をまとめる人なので、「同じ人が兼ねてもいいのか」と迷われる方も多いのではないでしょうか。
また、営業所技術者(旧:専任技術者)や経管(経営業務の管理責任者。今の正式名は「常勤役員等」)が現場代理人になってよいのかも、気になるところです。
結論からお伝えすると、同じ現場であれば、主任技術者の資格がある人は、現場代理人を兼ねることができます。
ただし、公共工事では現場代理人に「常駐」が求められるため、別の現場と掛け持ちできるのは発注者が認めた場合に限られます。
また、営業所技術者は営業所に専任なので、原則として現場の主任技術者や、現場に常駐する現場代理人にはなれません。
経管には法律上の禁止はありませんが、公共工事では、福岡県の発注工事のように経管や営業所技術者を現場代理人にできないとしている発注者もあります。
この記事では、建設業法と、国が示している工事請負契約書のひな形(標準請負契約約款。中央建設業審議会が作成し、国土交通省が公表しているもの。以下「標準約款」)をもとに、現場代理人と主任技術者の違いと、兼務できる範囲を解説します。
公共工事の細かな扱いは発注者ごとに違うので、実際の工事では発注者の約款や特記仕様書もあわせて確認してください。
1.現場代理人と主任技術者の違い

①違いの早見表
ポイント:現場代理人は「契約の代理人」、主任技術者は「技術の責任者」
2つの立場の違いを表にまとめると、次のとおりです。
| 現場代理人 | 主任技術者 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 請負契約(標準約款 第10条など) | 建設業法 第26条 |
| 置く義務 | 建設業法上の義務なし(公共工事は標準約款で置く) | 許可業者は原則、請け負ったすべての工事に置く |
| 役割 | 現場の運営・取締り、契約上の会社の権限の行使 | 施工計画・工程・品質などの技術上の管理、作業員の指導監督 |
| 資格 | 法律で決まった資格はない | 国家資格や実務経験など(一般建設業の営業所技術者と同じ要件) |
| 掛け持ちの制限 | 公共工事は「常駐」が原則(発注者が認めれば緩和) | 公共性のある重要な工事で4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上は「専任」 |
| 同じ現場での兼務 | 主任技術者の資格があれば兼ねられる | 現場代理人を兼ねられる |
※専任は、ほかの工事現場の仕事を兼ねないという意味で、常に現場にいる「常駐」とは違います。
※建設業法、建設業法施行令第27条、標準約款(令和7年12月2日改正)、監理技術者制度運用マニュアルをもとに当事務所で整理
②現場代理人は、会社の代わりに現場と契約ごとを取り仕切る人
ポイント:建設業法に置く義務はなく、公共工事では標準約款で置くことになっています
現場代理人は、工事の注文者(元請工事なら発注者、下請工事なら元請会社)との窓口になり、会社の代わりに現場の運営や契約上のやりとりを行う人です。
建設業法には「現場代理人を必ず置きなさい」という定めはなく、置く場合のルールが定められています。
請負人は、請負契約の履行に関し工事現場に現場代理人を置く場合においては、当該現場代理人の権限に関する事項及び当該現場代理人の行為についての注文者の請負人に対する意見の申出の方法(第三項において「現場代理人に関する事項」という。)を、書面により注文者に通知しなければならない。
出典:建設業法 第19条の2(e-Gov法令検索) ※第2項以下は省略
公共工事の標準約款では、現場代理人を置くことが前提になっています。
現場代理人は、請負代金額の変更や代金の請求・受領、契約の解除などを除き、契約にもとづく受注者の一切の権限を行使できるとされています(第10条第2項)。
民間工事の標準約款(民間建設工事標準請負契約約款(甲))では、現場代理人を定めたときに書面で氏名を知らせる形になっていて、置くかどうかは契約しだいです。
③主任技術者は、許可業者が原則すべての工事に置く技術者
ポイント:下請の工事や小さな工事でも置く必要があります
主任技術者は、建設業法で置くことが義務づけられている技術者です。
建設業者は、その請け負つた建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。
出典:建設業法 第26条(e-Gov法令検索) ※第2項以下は省略
建設業の許可を受けた業者は、元請・下請や請負金額にかかわらず、原則として、請け負った工事ごとに主任技術者を置かなければなりません(500万円未満の軽微な工事でも同じです)。
主任技術者になれるのは、その業種の一般建設業の営業所技術者になれる資格(国家資格や実務経験など)を持つ人です。
なお、元請として下請に出す金額の合計が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上になる工事では、主任技術者の代わりに監理技術者を置きます(第26条第2項)。
2.現場代理人と主任技術者は兼務できる?

①同じ現場なら、1人で兼ねることができます
ポイント:兼ねられるのは、主任技術者の資格を持つ人です
同じ工事の現場代理人と主任技術者は、同じ人が兼ねることができます。
公共工事の標準約款には、次の定めがあります(「監理技術者等」は、主任技術者・監理技術者などのことです)。
5 現場代理人、監理技術者等(監理技術者、監理技術者補佐又は主任技術者をいう。以下同じ。)及び専門技術者は、これを兼ねることができる。
出典:国土交通省「公共工事標準請負契約約款」(令和7年12月2日改正)第10条第5項
民間工事の標準約款(甲)と、元請・下請の間で使う標準約款(建設工事標準下請契約約款)にも、同じように兼ねられる定めがあります(小規模な工事向けの民間工事の標準約款(乙)には、現場代理人の定めがありません)。
国土交通省の監理技術者制度運用マニュアルでも、監理技術者等と現場代理人は兼ねることができるとされています。
ただし、兼ねる人は、主任技術者になれる資格を持っている必要があります。
資格のない人でも現場代理人にはなれますが、主任技術者を兼ねることはできません。
②公共工事で別の現場と掛け持ちできるのは、発注者が認めた場合だけ
ポイント:公共工事の現場代理人は「常駐」が原則です
公共工事の標準約款では、現場代理人は工事現場に常駐するのが原則です(第10条第2項)。
国土交通省の通知では、ここでいう常駐とは「当該工事のみを担当し、かつ、作業期間中常に工事現場に滞在していること」とされています。
ただし、現場の運営や取締りに支障がなく、連絡体制も確保されていると発注者が認めた場合は、常駐を求めないことができます(第10条第3項)。
国土交通省は、常駐を緩和する場面の考え方として、次のような例を示しています。
- 契約したあと、現場事務所の設置や資機材の搬入、仮設工事などが始まるまでの期間や、工事を全部止めている期間
- 運営や取締りが難しくない規模・内容の工事(例えば、主任技術者などの専任が要らない程度)で、発注者や監督員と携帯電話などで常に連絡がとれる場合
ほかの工事の現場代理人と掛け持ちする典型例としては、上の2つ目を満たしたうえで、さらに次のすべてを満たす場合が挙げられています。
- 掛け持ちする工事の件数が少ないこと(例えば2〜3件程度)
- 現場どうしの距離(移動時間)が一定の範囲内であること(例えば同じ市町村内)
- 発注者や監督員に求められたら、速やかに現場に向かえること
※出典:国土交通省「現場代理人の常駐義務緩和に関する適切な運用について」(平成23年11月14日 国土建第161号)
実際に何件まで、どの範囲まで掛け持ちできるかは、発注者ごとの要領で決まっています。
例えば福岡県県土整備部「専任を要する主任技術者および現場代理人の兼務について」では、現場どうしが道のりで10km程度の近さにあること、いずれかの現場に常駐して原則1日1回以上それぞれの現場を回ることなどの条件を満たす2件までとされています(県以外が発注した工事との掛け持ちは、相手の発注者の承認も必要です)。
福岡市も、令和7年2月1日から現場代理人の兼任の金額要件を見直しました(福岡市の要領では「兼任」と呼んでいます)。
掛け持ちしたいときは、入札の公告や特記仕様書を確認し、事前に発注者の承認を受けましょう(福岡県県土整備部の工事では、落札後、契約前までに申請します)。
③主任技術者の専任が必要な工事は、原則として掛け持ちできません
ポイント:専任とは、ほかの工事現場の仕事を兼ねないことです
公共性のある施設や多くの人が使う施設の工事(いわゆる公共性のある重要な建設工事)で、請負金額が4,500万円(建築一式工事は9,000万円)以上のものは、主任技術者を現場ごとに専任で置かなければなりません(建設業法第26条第3項・施行令第27条第1項)。
国や自治体が発注する工事のほか、民間の工事でも、学校・病院・事務所・ホテル・共同住宅・工場・倉庫などの工事が当てはまります(個人の戸建て住宅は含まれません)。
ここでいう専任とは、ほかの工事現場の仕事を兼ねず、その現場の仕事だけを担当することで、常に現場にいることまでは求められません。
前述の国土交通省の通知でも、現場代理人の常駐が緩和されても、主任技術者・監理技術者の専任は緩和されないとして、注意が促されています。
現場代理人と専任の主任技術者を兼ねている人は、ほかの現場と掛け持ちできないのが原則です。
例外として、請負金額1億円未満(建築一式工事は2億円未満)などの条件を満たせば、2つの現場を兼ねられる「専任特例」があります(建設業法第26条第3項第1号)。
ただし、主任技術者が専任特例を使える場合でも、現場代理人の常駐を緩和してもらうには、別に発注者の承認が必要です。
また、同じ会社が、密接な関係のある2つ以上の工事を同じ場所や近い場所で施工する場合は、同じ専任の主任技術者がまとめて管理できるという定めもあります(施行令第27条第2項。マニュアルでは現場どうしの間隔は10km程度、専任が必要な工事を含む場合は原則2件程度とされ、監理技術者には使えません)。
④民間工事の現場代理人の掛け持ちは、契約しだいです
ポイント:民間工事の標準約款には、常駐の定めはありません
民間工事の標準約款(甲)には、公共工事のような常駐の定めはありません。
そのため、現場代理人がほかの現場を掛け持ちできるかは、発注者との契約で決めた内容しだいです。
一方、下請として入る工事で使う標準約款(建設工事標準下請契約約款)では、現場代理人は工事現場に常駐するのが原則で、元請が認めた場合は常駐しなくてもよいとされています。
下請の現場代理人を掛け持ちしたいときは、元請に確認しましょう。
また、③の専任が必要な工事に当たる場合は、民間工事でも主任技術者の専任は外せません。
3.営業所技術者や経管は、現場代理人になれる?

①営業所技術者は、営業所に専任なので注意が必要です
ポイント:現場の主任技術者を兼ねられるのは、条件を満たす工事に限られます
営業所技術者は、営業所に常勤して、専らその職務に従事する人です。
建設業法に、営業所技術者が現場代理人になることを直接禁じる定めはありません。
しかし、営業所での専任と両立しない形(現場に常駐する、ほかの工事の技術者として働くなど)で、現場の役割を担うことはできません。
公共工事では、営業所技術者は現場代理人になれないとしている発注者もあります。
例えば福岡県県土整備部の工事では、営業所技術者は現場代理人になれません。
現場の主任技術者を兼ねる場合については、国土交通省の監理技術者制度運用マニュアルが、次の3つの場合に分けて条件を示しています。
- 主任技術者の専任が必要な工事:請負金額1億円未満(建築一式工事は2億円未満)で、兼ねる現場は1つまで、営業所から現場までおおむね2時間以内、下請は3次まで、連絡員を置く、映像と音声で現場を確認できる機器があるなどの条件を満たす場合(建設業法第26条の5)
- 専任が要らない工事で、営業所と現場が近く、営業所と常に連絡がとれる場合
- 専任が要らない工事で、営業所と現場が近くない場合:1つ目と同じ条件(請負金額の条件を除く)を満たす場合
いずれも、その営業所で契約した工事であることと、会社と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが条件で、専任特例と組み合わせて使うことはできません。
詳しくは、記事の最後(まとめの下)でご紹介している記事で解説しています。
②経管(常勤役員等)は、営業所への専任までは求められていません
ポイント:法律上の禁止はありませんが、公共工事では制限している発注者があります
経管は、会社に常勤していることが求められます。
福岡県の手引きでは、常勤とは「原則として本社、本店等において休日その他勤務を要しない日を除き一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その業務に従事していること」とされています。
経管には、営業所技術者のような「営業所に専任」という条件はありません。
建設業法や手引きにも、経管が現場代理人や主任技術者(資格がある場合)を務めることを禁じる定めはありません。
ただし、常勤は本社などでの勤務が原則なので、遠方の現場に常駐し続けるような働き方をすると、常勤といえるか疑われるおそれがあるので注意しましょう。
また、公共工事では、経管を現場代理人にできないとしている発注者があります。
福岡県県土整備部の工事では、経管は現場代理人になれず、主任技術者になれるのも、専任が要らない工事で、営業所と現場が近いなどの条件を満たす場合だけです。
経管と営業所技術者を1人で兼ねている場合は、同じ営業所であれば両方を兼ねることはできますが、営業所技術者としての制限(①)もかかるため、自由に現場代理人や主任技術者を務められるわけではありません。
4.まとめ
以上、現場代理人と主任技術者の違いと、兼務できる範囲について解説いたしました。
この記事のポイント
- 現場代理人は契約にもとづいて会社の代わりに現場を取り仕切る人、主任技術者は建設業法で置く義務がある技術上の管理の責任者
- 同じ現場なら、主任技術者の資格がある人は現場代理人を兼ねられる
- 公共工事の現場代理人は常駐が原則で、別の現場と掛け持ちできるのは発注者が認めた場合だけ(件数や距離は発注者の要領しだい。下請工事は元請の承認)
- 主任技術者の専任が必要な工事は、現場代理人の常駐が緩和されても専任は外れない(民間工事でも同じ)
- 営業所技術者が現場の主任技術者を兼ねられるのは、条件を満たす工事だけ。公共工事では現場代理人になれないとする発注者もある
- 経管は常勤が条件で、現場代理人や主任技術者を務めることを禁じる法律の定めはない。ただし常勤を疑われない働き方が前提で、福岡県県土整備部の工事のように現場代理人を認めない発注者もある
※建設業法、標準約款(公共工事・民間建設工事(甲)・建設工事標準下請契約約款。令和7年12月2日改正)第10条、国土交通省の通知(平成23年11月14日)、監理技術者制度運用マニュアル、福岡県「建設業許可申請等の手引き」、福岡県県土整備部の取扱いをもとに当事務所で整理
営業所技術者が主任技術者を兼ねる条件や、専任が必要な現場を2つ兼ねられる「専任特例」は、下記の記事で解説しています。
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